元不良お嬢様〜小さな苺姫の物語〜

第1話

 私はやっぱり石ノ木君と喧嘩がしたかった。

 強いやつが現れればいい。

 現れないなら、
 さらに強いやつを見つけ出して、
 勝負を仕掛けるしかない。

「やっぱり、
強いやつと戦いたい」

 羊飼さんが、
 その話を受け入れるなんて思っていなかった。

「やめてください。
ご両親が心配します。
医師令嬢としてのプライドはないんですか?」

「医師令嬢としてのプライドはないけど、元不良としてのプライドならある」

「それだと元不良じゃなくて、
ただの不良ですよ。
まだ不良を捨てきれていません」

 羊飼さんは、
 会議に出席するということで、
 喧嘩当日は来なかった。

 何の会議かは教えてくれなかった。
「大人の事情」
 ということだけど、
 羊飼さんは高校生で、
 アルバイトとして執事をやっているだけなのに、
 大人も何もあるか。

 早速、
 私は石ノ木君を校舎裏へ呼び出した。

「喧嘩したい」

「オレの能力が世界破壊、
歴史改竄、
法則改変だって、
どういうことかわかってる?」

「わかろうとしてない。

私はただ、
強いやつと戦いたいだけ」

「戦うこと以外に、
やりたいことはないの?」

「苺をたらふく食べることぐらいかな」

 私の好きなものは喧嘩と苺だ。
 それ以外は思いつかない。

「歴史改竄で君が喧嘩したいと思うきっかけごと消して、
法則改変で弱体化させる。
オレはそういうことを平気でする」

「それでもいい。
そっちが能力を使うなら、
私だって容赦しない」

 私は幼い頃から、
 能力や魔法を無効化できた。

 十五秒で怪我も病気も治せるし、
 身体強化で素手のまま大人にも勝てた。

「じゃあ、バイバイ」

「異能力、無効」

 だけど、私はここにいる。
 ちゃんと存在している。
 石ノ木君の能力なんて、
 無効化すればいい。

「何も起こらない?
君って、異能力者だったりする?」

「異能力者かどうかはわからないけど、
能力ならある。
十五秒で蘇生できるし、
自分を強化できるし、
異能も魔法も無効化できる」

「君、それって先天的なもの? それとも後天的なもの?」

「わからないけど、
小学生になる頃にはもう使えたよ。
それで大人にも勝てた」

「よくわからないけど、
オレと互角に戦える?」

「たぶんね」

 こうして私と石ノ木君は戦った。

 石ノ木君が攻撃する度に、
 私は無効化していく。

 私は身体強化で、
 殴る、
 蹴る。

 最後は引き分けに終わった。

「互角にやり合えたのは初めてだ」
「私も」
「これからは、いいライバルだ」

「だといいね」

 石ノ木君は、過去を改竄できても、
 私の昔を知らなかったりするのかな?
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