元不良お嬢様〜小さな苺姫の物語〜
中学校に入学してすぐ、
担任の先生から
「新入生は今日から部活見学、
その後に仮入部がある」
と説明があった。
部活なんて初めての体験だ。
中学生になったばかりの人はみんなそうかもしれないけれど、
小学生のときに手芸クラブや調理クラブに入っていた私からすると、
部活がそれと同じようなものなのか、
まったく別物なのか想像もつかなかった。
一体どの部活に入ればいいんだろう。
一人で悩んでいると、
幼なじみの多摩湖ちゃんが
「一緒に見学に行こう?」
と穏やかに声をかけてくれた。
なぜか牛縞君も一緒についてくる。
「脳内お花畑の選ぶ部活なんて、
さっぱり想像がつかないな」
相変わらず一言多い牛縞君に、
私は即座に言い返した。
「脳内お花畑じゃなくて、
脳内苺畑ですー!」
「そっか、そっか」
「ほんと、
仲良すぎるんだから」
三人でひとつずつ部活を見学して回る。
私の本命は手芸部だけど、
多摩湖ちゃんは運動部志望だ。
前々から
「サッカー部か陸上部に入りたい」
と言っていたけれど、
この白薔薇学園には水泳部もある。
水泳も大好きな多摩湖ちゃんは
「水泳部があるのもこの学校を受験した理由なんだよね」
と嬉しそうに話してくれた。
すると、
牛縞君が私に向かってニヤニヤしながら言った。
「普段、喧嘩のことしか頭にない少年漫画の主人公みたいなやつが、
手芸部なんて意外すぎるだろ。
針と糸を持ってチクチク縫うのかよ」
「それなら、苺みたくブツブツ縫いつけるから!
それに、手芸部だって大好きなの! あと少年漫画の主人公じゃなくて、
私は『苺漫画』の主人公です!」
「苺漫画の主人公なんて聞いたことねえよ」
呆れる牛縞君の横で、
多摩湖ちゃんがくすくす笑いながら言った。
「ふたりとも、
またやってる。
もういっそのこと付き合っちゃえば?」
「そんなんじゃないし! ただの幼なじみだから!」
私と牛縞君の声がキレイにハモった。
「牛縞君も素直になればいいのにねえ」
「頭の中がお花畑のやつなんてお断りだね」
「お花畑じゃなくて脳内苺畑だってば!」
私は喧嘩ならめちゃくちゃ強いけれど、なぜかスポーツ全般はさっぱりダメだった。
陸上なんて足が早くないし、
野球部なんてボールがあまり飛ばない、
水泳は泳げないし、
バスケはジャンプ力がない。
ちなみに、
牛縞君が何部に入るのかは「秘密」らしい。
休日、
羊飼さんがついてきた。
私は喧嘩できる相手を捜していた。
誰かは知らない。
強ければ、
誰でもいいから。
「駄目ですよ、
喧嘩相手を探すなんて、絶対にやめてください」
羊飼さんは頭を抱えて猛反対している。
その時だった。
一風変わった妖精の姿を見つけた。
なんと、頭に大きな苺をのせた
「サイのぬいぐるみ」の姿をしている。
サイなら絶対に強いはず……! それに、あの頭の苺もすごく気になる!
私が目を輝かせて近づくと、
サイのぬいぐるみは怪訝そうにこちらを見上げ、
ボソッと呟いた。
「……小さな苺姫の噂なら聞いているぞ。おいらはリノチェローテ。
貴様を要注意人物として警戒する!」
「行くよっ!」
警戒するリノチェローテに対し、
私は迷わず喧嘩を挑んだ。
結果は——「身体強化」の異能を使った、私のワンパン勝利。
サイのわりに意外と弱かったな……。
地面に倒れたリノチェローテは、
目を目を回しながらもしっかりと起き上がり、
憧れと恐れの入り混じった目で見上げてきた。
「……す、すごい強さだ。
頼む、君のことを『姉貴』と呼ばせてくれないか!?」
「え? いいよ、姉貴で!」
あっさり了承した私に、
リノチェローテは嬉しそうに頷いた。
「でも『リノチェローテ』って呼ぶのはちょっと長いから……これからは『チェローテ』って呼ばせてね!」
「お嬢様、
何なのか分からないものを」
「これから、
強い奴見つけられればそれでよし」
担任の先生から
「新入生は今日から部活見学、
その後に仮入部がある」
と説明があった。
部活なんて初めての体験だ。
中学生になったばかりの人はみんなそうかもしれないけれど、
小学生のときに手芸クラブや調理クラブに入っていた私からすると、
部活がそれと同じようなものなのか、
まったく別物なのか想像もつかなかった。
一体どの部活に入ればいいんだろう。
一人で悩んでいると、
幼なじみの多摩湖ちゃんが
「一緒に見学に行こう?」
と穏やかに声をかけてくれた。
なぜか牛縞君も一緒についてくる。
「脳内お花畑の選ぶ部活なんて、
さっぱり想像がつかないな」
相変わらず一言多い牛縞君に、
私は即座に言い返した。
「脳内お花畑じゃなくて、
脳内苺畑ですー!」
「そっか、そっか」
「ほんと、
仲良すぎるんだから」
三人でひとつずつ部活を見学して回る。
私の本命は手芸部だけど、
多摩湖ちゃんは運動部志望だ。
前々から
「サッカー部か陸上部に入りたい」
と言っていたけれど、
この白薔薇学園には水泳部もある。
水泳も大好きな多摩湖ちゃんは
「水泳部があるのもこの学校を受験した理由なんだよね」
と嬉しそうに話してくれた。
すると、
牛縞君が私に向かってニヤニヤしながら言った。
「普段、喧嘩のことしか頭にない少年漫画の主人公みたいなやつが、
手芸部なんて意外すぎるだろ。
針と糸を持ってチクチク縫うのかよ」
「それなら、苺みたくブツブツ縫いつけるから!
それに、手芸部だって大好きなの! あと少年漫画の主人公じゃなくて、
私は『苺漫画』の主人公です!」
「苺漫画の主人公なんて聞いたことねえよ」
呆れる牛縞君の横で、
多摩湖ちゃんがくすくす笑いながら言った。
「ふたりとも、
またやってる。
もういっそのこと付き合っちゃえば?」
「そんなんじゃないし! ただの幼なじみだから!」
私と牛縞君の声がキレイにハモった。
「牛縞君も素直になればいいのにねえ」
「頭の中がお花畑のやつなんてお断りだね」
「お花畑じゃなくて脳内苺畑だってば!」
私は喧嘩ならめちゃくちゃ強いけれど、なぜかスポーツ全般はさっぱりダメだった。
陸上なんて足が早くないし、
野球部なんてボールがあまり飛ばない、
水泳は泳げないし、
バスケはジャンプ力がない。
ちなみに、
牛縞君が何部に入るのかは「秘密」らしい。
休日、
羊飼さんがついてきた。
私は喧嘩できる相手を捜していた。
誰かは知らない。
強ければ、
誰でもいいから。
「駄目ですよ、
喧嘩相手を探すなんて、絶対にやめてください」
羊飼さんは頭を抱えて猛反対している。
その時だった。
一風変わった妖精の姿を見つけた。
なんと、頭に大きな苺をのせた
「サイのぬいぐるみ」の姿をしている。
サイなら絶対に強いはず……! それに、あの頭の苺もすごく気になる!
私が目を輝かせて近づくと、
サイのぬいぐるみは怪訝そうにこちらを見上げ、
ボソッと呟いた。
「……小さな苺姫の噂なら聞いているぞ。おいらはリノチェローテ。
貴様を要注意人物として警戒する!」
「行くよっ!」
警戒するリノチェローテに対し、
私は迷わず喧嘩を挑んだ。
結果は——「身体強化」の異能を使った、私のワンパン勝利。
サイのわりに意外と弱かったな……。
地面に倒れたリノチェローテは、
目を目を回しながらもしっかりと起き上がり、
憧れと恐れの入り混じった目で見上げてきた。
「……す、すごい強さだ。
頼む、君のことを『姉貴』と呼ばせてくれないか!?」
「え? いいよ、姉貴で!」
あっさり了承した私に、
リノチェローテは嬉しそうに頷いた。
「でも『リノチェローテ』って呼ぶのはちょっと長いから……これからは『チェローテ』って呼ばせてね!」
「お嬢様、
何なのか分からないものを」
「これから、
強い奴見つけられればそれでよし」