潜入したのに目立ってどうする! ~ひっそり暮らしたい月の潜入者~
「転校生を紹介します。中野さん、入ってきて下さい」

そう言われて、あたしは教室の中に入る。

「中野さん、自己紹介をお願いします。」

「……っ」

怖い。

でも、やらなきゃ…。

私は、「月の潜入者」なんだから。

「はじめ、まして…。中野、光莉、です…よろ、しく、おねがい、します…」

『なにあの子、地味ですわ』『この学校には相応しくないな』

そんな声が聞こえる。

でも、慣れてる、から、大丈、夫。

「よろしくお願いします。それでは他の皆さんも、出席番号順に自己紹介をお願いします」

そうして、自己紹介はどんどん進んでいく。

「…覚えましたか?」

「は、はい。全員、覚え、まし、た。」

そう答えた瞬間、ピリッとした空気になった。

「…嘘はやめなさい。」

その一言だけ、先生が言った。それだけでも、迫力がすごい。

でも、そんなのよくあった。だから私は、平気だった。

「…嘘じゃ、ありま、せん。今から、言うので、見て、ください」

勢いでそう言ってしまった。

実は、負けず嫌い、なんだよね。

言ったからには、やるしかない、か。

息を吸って、私は淡々と名前を言っていく。

「…正解です。座りなさい。」

先生は少し戸惑った様子で、そう言った。

人の名前で「正解」って言葉使うの、どうなんだろ…。



って、あれ?

「えっと、席、どこ、ですか?」

「…あそこよ。」

「あり、がとう、ござい、ます」

そう言って、私は席に行き、座った。

…視線が、すごい。

やるんじゃ、なかった…。

そう、心の中で思った。




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