ブルー・ディスタンス~君の特別になりたかった私は、最初から君の特別だった。~

③-❶

律くんを諦めようと決めてから、季節はすっかり夏になっていた。
じりじりと照りつける太陽が、冷え切った私の心とは対照的に眩しい。

私は、律くんを見ないように、徹底的に避ける日々を送っていた。
席は近いのに、私たちの間には目に見えない厚い壁があるようだった。

そんなある日の昼休み。
私が一人で手洗い場に向かおうと廊下を歩いていると、すっと横に並ぶ影があった。
ウェーブがかった明るい髪に、涼しげな目元。クラスメイトの葉山夏美ちゃんだ。

「ねえ、市乃瀬さん。ちょっと今いい?」

夏美ちゃんとは、これまで席が離れていたこともあって、ほとんど話したことがなかった。
サバサバしていて、男女問わず友達が多い彼女が、一体私に何の用だろう。

「あ、うん。どうしたの?」
「ここじゃあれだからさ。放課後、ちょっと残ってくんない? 大事な話があるんだよね」

彼女はそれだけ言うと、ひらひらと手を振って教室へ戻っていった。
少しだけ見つめられたその瞳の奥に、強い光が宿っていたような気がして、私は妙な胸騒ぎを覚えた。
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