ブルー・ディスタンス~君の特別になりたかった私は、最初から君の特別だった。~

③ー❺

夏美ちゃんが去った後も、私はしばらく動けなかった。

窓から差し込む夕日が、私の影を長く伸ばしている。
嘘みたいだ。でも、もしそれが本当なら――。

(私……、何やってたんだろう)

詩織を傷つけたくなくて、自分が傷つくのが怖くて、勝手に諦めて、壁を作って。
私をずっと見つめてくれていたかもしれない彼の気持ちを、私はずっと無視し続けていた。

「律くん……」

口の中で、初めてその名前を呟いてみる。
冷たいブルーに染まっていた私の世界に、一筋の温かい光が差し込んできた。

でも、本当にこれでいいのだろうか。詩織の気持ちはどうなるの?
私は夏美ちゃんの言葉を反芻しながら、夕暮れの街を、ただ呆然と歩き続けた。
冷え切っていたはずの胸の奥が、痛いくらいに熱を持っていた。
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