ブルー・ディスタンス~君の特別になりたかった私は、最初から君の特別だった。~
④-❹
詩織と話した翌日の放課後。
私は、重い足取りで図書室へと向かった。
夏美ちゃんが「律は放課後、だいたい図書室で暇潰してるよ」と教えてくれたからだ。
静まり返った図書室。本の匂い。
窓際の席に、見覚えのある背中を見つけた。
律くんだ。
彼は一人、あの時と同じ文庫本を開いて座っていた。
心臓がバクバクと、耳の奥でうるさいほど鳴り響く。
足がすくみそうになるのを、詩織の言葉と、自分自身の想いできつく律する。
私はゆっくりと、彼の席へと歩み寄った。
床を踏みしめる音が、やけに大きく響く。
彼の隣まで行き、私はゆっくりと息を吐き出して、椅子を引いた。
「……あの」
私の声に、律くんが驚いたように顔を上げた。
涼しげな、でもどこか焦ったような彼の瞳が、真っ直ぐに私を捉える。
彼と、こんなに近くで目が合うのは、いつ以来だろう。
緊張で喉がカラカラに渇いていた。
私は、彼の机の上に置かれた文庫本を指差した。
「あの……その本、私も好きです」
それが、私が彼にかけた、生まれて初めての、本物の言葉だった。
律くんは一瞬、何が起きたのか分からないというように目を見開いた。
そして、じわじわとその白い頬が赤く染まっていく。
彼は本を少しだけ閉じ、耳の裏まで真っ赤にしながら、蚊の鳴くような声で言った。
「……知ってる。市乃瀬さんが読んでるの、見てたから。……っていうか、やっと話しかけてくれた」
その言葉に、今度は私の心臓が大きく跳ね上がった。
嘘じゃない。夏美ちゃんの言った通り、彼は本当に、私のことを見てくれていたんだ。
「……隣、座っても、いいですか?」
「……うん。むしろ、座って」
二人の間の青い距離(ブルー・ディスタンス)が、かすかな音を立てて、静かに縮まり始めていた。
私は、重い足取りで図書室へと向かった。
夏美ちゃんが「律は放課後、だいたい図書室で暇潰してるよ」と教えてくれたからだ。
静まり返った図書室。本の匂い。
窓際の席に、見覚えのある背中を見つけた。
律くんだ。
彼は一人、あの時と同じ文庫本を開いて座っていた。
心臓がバクバクと、耳の奥でうるさいほど鳴り響く。
足がすくみそうになるのを、詩織の言葉と、自分自身の想いできつく律する。
私はゆっくりと、彼の席へと歩み寄った。
床を踏みしめる音が、やけに大きく響く。
彼の隣まで行き、私はゆっくりと息を吐き出して、椅子を引いた。
「……あの」
私の声に、律くんが驚いたように顔を上げた。
涼しげな、でもどこか焦ったような彼の瞳が、真っ直ぐに私を捉える。
彼と、こんなに近くで目が合うのは、いつ以来だろう。
緊張で喉がカラカラに渇いていた。
私は、彼の机の上に置かれた文庫本を指差した。
「あの……その本、私も好きです」
それが、私が彼にかけた、生まれて初めての、本物の言葉だった。
律くんは一瞬、何が起きたのか分からないというように目を見開いた。
そして、じわじわとその白い頬が赤く染まっていく。
彼は本を少しだけ閉じ、耳の裏まで真っ赤にしながら、蚊の鳴くような声で言った。
「……知ってる。市乃瀬さんが読んでるの、見てたから。……っていうか、やっと話しかけてくれた」
その言葉に、今度は私の心臓が大きく跳ね上がった。
嘘じゃない。夏美ちゃんの言った通り、彼は本当に、私のことを見てくれていたんだ。
「……隣、座っても、いいですか?」
「……うん。むしろ、座って」
二人の間の青い距離(ブルー・ディスタンス)が、かすかな音を立てて、静かに縮まり始めていた。