ブルー・ディスタンス~君の特別になりたかった私は、最初から君の特別だった。~
エピローグ:最初から、君の特別だった。
初めてのデートは、少し照れくさくて、でもどこか懐かしい街の図書館だった。
お互い本が好きだから、自然とそうなった。
静かな館内で、お気に入りの小説を紹介し合う。
ふと、律が私の手元にある、あの入学式の日に彼が読んでいた文庫本を見つめて、小さく笑った。
(律視点)
あの日。冷たい春の雨が降る入学式の日。
俺は、静まり返った1年B組の教室で、なんとなく本を読んでいた。
正直、高校生活なんてどうでもいいと、どこかで冷めていたんだと思う。
けれど、ガラガラと後ろの扉が開いて、彼女が入ってきた。
一ノ瀬……じゃなくて、市乃瀬璃子。
控えめで、おどおどしていて、でもどこか凛とした空気を持つ女の子。
廊下側の、一番後ろの席にぽつんと座った彼女と、一瞬だけ、本当に一瞬だけ目が合った。
その瞬間、俺の退屈だった世界に、鮮やかな色がついていくのが分かった。
もっと話しかければよかった。
ヘタレだとか、チキンだとか言われても、どうしようもなかった。
好きなやつの前では、誰だって不器用になる。
席替えで後ろの席になった時、神様に感謝した。
でも、話しかけられないまま、さらに彼女から完全に拒絶されたような態度を取られた時、本当に目の前が真っ暗になった。
だから、夏美があいつを呼び止めてくれた時、心底救われたんだ。
(璃子視点)
「ねえ、何笑ってるの?」
耳元で囁くと、律は私の手を、机の下でそっと握りしめた。
「ううん。……出会えてよかったなって、思って」
「私も。……ずっと、大好きだったよ」
遠くから見つめるだけの、届かない特等席。
でも、私は知っている。
きみの特別になりたかった私は。
最初から、きみの特別だったということを。
窓の外には、どこまでも、どこまでも青く澄んだ夏空が広がっていた。
(『ブルー・ディスタンス~君の特別になりたかった私は、最初から君の特別だった。~』――完――)
お互い本が好きだから、自然とそうなった。
静かな館内で、お気に入りの小説を紹介し合う。
ふと、律が私の手元にある、あの入学式の日に彼が読んでいた文庫本を見つめて、小さく笑った。
(律視点)
あの日。冷たい春の雨が降る入学式の日。
俺は、静まり返った1年B組の教室で、なんとなく本を読んでいた。
正直、高校生活なんてどうでもいいと、どこかで冷めていたんだと思う。
けれど、ガラガラと後ろの扉が開いて、彼女が入ってきた。
一ノ瀬……じゃなくて、市乃瀬璃子。
控えめで、おどおどしていて、でもどこか凛とした空気を持つ女の子。
廊下側の、一番後ろの席にぽつんと座った彼女と、一瞬だけ、本当に一瞬だけ目が合った。
その瞬間、俺の退屈だった世界に、鮮やかな色がついていくのが分かった。
もっと話しかければよかった。
ヘタレだとか、チキンだとか言われても、どうしようもなかった。
好きなやつの前では、誰だって不器用になる。
席替えで後ろの席になった時、神様に感謝した。
でも、話しかけられないまま、さらに彼女から完全に拒絶されたような態度を取られた時、本当に目の前が真っ暗になった。
だから、夏美があいつを呼び止めてくれた時、心底救われたんだ。
(璃子視点)
「ねえ、何笑ってるの?」
耳元で囁くと、律は私の手を、机の下でそっと握りしめた。
「ううん。……出会えてよかったなって、思って」
「私も。……ずっと、大好きだったよ」
遠くから見つめるだけの、届かない特等席。
でも、私は知っている。
きみの特別になりたかった私は。
最初から、きみの特別だったということを。
窓の外には、どこまでも、どこまでも青く澄んだ夏空が広がっていた。
(『ブルー・ディスタンス~君の特別になりたかった私は、最初から君の特別だった。~』――完――)