花に溺れ、香りに溶ける
「千夏さん、こんにちは」
「美寿ちゃん、こんにちわ。今日会えるかなぁって思ってたの。大丈夫? 疲れてない?」
「はい、大丈夫です」
「そうなの? すごいなぁ……わたしは疲れちゃったよ」
そう言って少し顔を緩めて「ほんと、つかれたー」と千夏さんは言った。
「千夏さんでもそうなんですか? いつも堂々としてるのに」
「それは表向きの顔ってやつだよ……そういえばね今日のパーティー、実質的に婚約お披露目会みたいなものだって、うちの親も言ってたよ」
「お披露目会、ですか」
千夏さんの言葉に、私の胸の中で小さな警戒心が芽生えた。気のせいかもしれないがこちらを見る目が少しだけ、なぜか敵意を感じた。
「大丈夫だと思うよ、美寿さんなら……あ、噂をすれば」