花に溺れ、香りに溶ける




 ふすまの取っ手に近いほうの指をかけて、自分の体の真ん中まで静かに引く。もう片方の手に持ちかえてふちを支え、体が半分以上見える所まで開け、最後に微調整して、お客様から見て自分の姿がいちばんきれいに見える幅まで静かに開けきった。

 開いたふすまの向こうから、緊張した空気が伝わってくる。私は敷居の外で、座ったままお客様全員に向かって背筋を伸ばし、丁寧に頭を下げた。

 それから立ち上がり、部屋の中の決まった場所まで進んで、また正座をした。背筋をぴんと伸ばし、両手を太ももの上、ひざの前で軽くそろえて置いた。







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