花に溺れ、香りに溶ける
香席
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私はふうっと息を吸って、心を落ち着けた。
ふすまの前に座るときは、柱や真ん中ではなく、少しずれた場所に座る。立ったり座ったりするときは、上の人がいる側の足を後ろに引いて座る、というのが決まりだ。
ふすまは、3回の動きに分けて静かに開ける。まず片手でふすまの取っ手を持ち、自分の体の真ん中まで開ける。次にもう片方の手に持ちかえてから肩幅くらいまで広げた。最後にまた最初の手で、体が入るくらいまで音を立てずにゆっくり全部開ける。
開け終わったら、すぐには立たずに両手を床について深くおじぎをする。
これは本気のおじぎと呼ばれる、一番丁寧な礼のしかただ。
手と足を一緒に動かしながら、ひざを滑らせるようにして部屋の入り口の線を越える。
敷居を越えたら、静かに立ち上がる。歩き出すときは、下座の足から一歩を踏み出し、自分がいつも座る場所まで進んだ。
自分の席に着いたら、あいさつをする。
「お香を始めたいと思います。よろしくお願いします」