愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
外は風と打ち付ける雨で荒れていた。
「急にきたな」
天気予報では、明日の朝にくるはずだったのに。
窓から覗く大きく揺れる木が恐ろしい生き物みたいに見えた。
「泊まっていったら?」
梓が俺の腕を取った。
「……いいの?」
再会してから、俺達はまだ夜を共にしていなかった。
「明日、外せない仕事がある?」
現場から離れた俺は、昔のように忙しい身じゃない。
「いや、ない」
「なら、遠慮しないで泊まっていって。楓も喜ぶから」
梓の言うように、楓が急にテンション高めに俺に言った。
「おじさん、一緒にゲームしよう!」
愛情はあっても、求めるものが変わってきたのもあり、梓とは心だけで繋がっていた。