愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
 クラッときそうなほど目映い、とても現実にはなさそうなフワフワとした草原で、不意にアユミと蓮は立ち止まり、俺を振り返った。

「……アユ」

 俺を哀れんだように見つめてから、急に俺の心臓あたり分を、トン! と思い切り突いた。

 俺は、よろめいて、いつの間にかあった崖から足を滑らせた。


「……バイバイ、ノブ」


 傾斜していく視界の中、アユミと蓮が俺に手を振っていた。

 とびきりの笑顔でだけど目は笑ってなくて、地獄に落ちろとでも言ってるようだった。


 俺は悲鳴を上げながら、長い崖をゆっくりと落ちていた。



「ノブ? どうしたの?」
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