🌸さくらのねがい🌸
会いたくなかった
墓地まではバスで30分程。
バスに乗って咲希ちゃんたちが眠ってる所へ向かった。
「咲桜、バス酔うでしょ、窓側。」
海斗が私を窓側の席に座らせ隣同士でバスに揺られる。
「ありがとう。」
景色がだんだんと田舎へ変わっていく様子をただただ私は窓から見て揺られる。
私たちは話さない。バスには私たちだけしか乗っていなかった。
景色を見ている私を見ている海斗の視線がたまに窓ガラスに反射する。
その表情があまりにも苦しそうで。
「咲桜、泣いてるの?」
「泣いて、ない。大丈夫。」
どう見ても泣いている私に彼は「そ。」とだけ言って私の髪を撫でる。
その仕草が私の心をもっと締め付ける。もっと涙が溢れる。
「泣かせてごめんな。」とまた苦しそうな顔。
そんな顔させたくないのに。
私はずっと海斗に笑っててもらいたいだけなのに。
* * *
(お父さん、お母さん、咲希ちゃん、三年目の春だね。
すこし寂しいよ。みんなの声が聞けないなんて。
咲希ちゃん、約束は果たせないよごめんね。……)
墓地へ着いて、2人で手を合わせた。
「咲桜、行こうか。」
「うん、今年もありがとうね。」
「ん、俺にとっても家族みたいなもんだよ。」とニコッと笑う。
バス停へ向かおうと墓地を出たそのとき、前から“あの子”が近づいてきていて、
「まって、さくらっ!!」と慌てた海斗の声は私には届いていなかった。
「咲桜ちゃん……?」