🌸さくらのねがい🌸

Side 海斗




「咲桜ちゃん……?」




気づいたら、後ろから“あの子”が来ていた。


咲桜とは絶対に会わせたくない“あの子”。




「明日香《あすか》ちゃん……」






近藤明日香《こんどうあすか》。
中学時代の同級生で、咲希の一番の友達だった。





「ごめんな、さい、、、」





咲桜は今にでも泣きそうな声で言う。

咲桜の顔を見ると冷や汗。「はぁ。はぁ。」と動悸を起こしている。



咲桜のことを壊したこの女には会わせたくなかったのに。




「咲桜、行くぞ。」





無理矢理、彼女の手をひいてバス停まで行った。





「深呼吸して。」





バス停でバスを待つと幸いにも丁度到着した。

バスに乗り震えている咲桜の手を握り深呼吸をさせた。



「寒い?」

「大丈夫、ありがとう」



そう言う彼女の手はまだ震えているし、唇も真っ青。




「これ、着て。」と持っていたジャージを咲桜に羽織らせた。



「海斗、ごめんね、ごめん、ごめんなさい。」とポロポロ泣き出す。


「大丈夫、オレは大丈夫だから。泣き止んでよ。」



「全部邪魔だよ、眼鏡も長い髪も。」




あの事故の後、咲桜は初めて髪を伸ばしはじめた。
自分と咲希が双子であり似ているから。

栗色でふわふわのボブヘアーからロングヘアーに、
それに、自分の顔を隠すように少し長い前髪と
目なんて悪くないのに黒縁メガネをかけている。



近藤に言われた、

「あんたのことみてると、咲希思い出す、、、!
 やめてよ、ねえ、咲桜ちゃん、、、」という言葉。

それから、どんどん容姿が今までと真逆になっていった。




咲桜は涙を拭くのにいつも掛けてる黒縁メガネを外した。



「っ」



久しぶりに見た彼女の本当の姿にどきっとした。

茶色の綺麗な瞳が白く透き通る様な肌に映える。



どうみても可愛い彼女に惹き込まれる。




「長い髪も眼鏡も辞めてよ。」



「それはできないよ。
海斗もきっと咲希ちゃんのこと思い出して苦しくなるよ。」



「俺は、、、」




そこまで言ったけどその後の言葉は言えなかった。


『思い出さない』 言ってしまったら思い出もなくなる気がした。





「ごめん、」


「ううん、私こそ、ごめんね。」




そのあとはまた行きの様にただただ咲桜は窓の外を見ている。



日が暮れて夕焼けに照らされている潤んだ瞳が不謹慎にも綺麗だと感じた。


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