🌸さくらのねがい🌸
「海斗、ジャージ、ありがとう。明日、洗って返すね。」

「いいよ。そのままで。」

「ダメだよ、私またいっぱい泣いちゃったからびちょびちょだもん」



そう拗ねた顔をする彼女が可愛くて可愛くて、まだ一緒にいたいと思ってしまう。



自宅の最寄りのバス停に着き、咲桜と家まで歩く。



「明日香ちゃん、多分毎年来てくれてるんだよね。雄介くんも。
今まで行き合わなかっただけで、いつかはきっと会うことになってたと思う。」


「ただ、心の準備ができてないまま会っちゃって、取り乱してしまいました。」


「オレは咲桜のことを壊した2人とたまたまとはいえ会ってほしくなかった。」



飯田雄介《いいだゆうすけ》。コイツも咲桜を壊した。
雄介も中学の同級生であの当時、咲希と付き合っていた彼氏。


近藤と雄介の陰湿な言葉の暴力、
理不尽な行動で咲桜の心は壊れてしまった。



「ううん、壊したんじゃないよ、私が2人を壊してしまったんだ。」
と何度も聞いた言葉が返ってくる。



オレの余計な一言でまた苦しそうな顔をさせてしまった。




家の前に着くと、たまたま母さんが玄関前にいた。


「咲桜ちゃんおかえり!」と息子のオレよりも先に声をかける。


「めぐちゃん、ただいま!」と無理やり笑顔をつくる咲桜。



「海斗、今年も一緒に行ってくれてありがとうね。
あと、同じクラスになれて嬉しいよ、というか心強い。
じゃあ、また明日ね〜」と彼女は1人で住んでいる家に帰って行った。


「咲桜ちゃん、目、赤かったね。」


「うん、また泣かせちゃったかもなー。」


「咲桜ちゃん悪くないんだから、あまり自分を責めないといんだけど。」




あの事故の日、俺たち家族は家にいた。

23時半、
付いていたテレビから聞こえた家の近くの地名に家族全員は気になってテレビに視線をおくると、画面に写しだされたよく知っている名前。


今日午後8時15分頃、事故_____

死亡
トラック運転手 _____容疑者
会社員 宮下亮二さん・聡子さん    の文字。

重体
乗用車に乗っていた10代



と映し出されていて、俺たち家族は放心状態。

聡子さんと特に仲の良かった母さんは泣いていた。



父さんはすぐに冷静になっていて、
「乗用車に乗っていた10代って…どっちかは助かってる?」と。



ニュースをみた後のことはあまり覚えていなくて、
その日の夜はあまり眠れなかったこと、
次の日に学校へ行ったけど
同級生や先生も悲しみに包まれていたことを覚えている。



次の日の夜、俺のスマホに着信があった。
宮下___の文字だけみて確認せずみ着信をとると、


「海斗っ、、どぉしよ、、みんな死んじゃった、、、」と電話越しで泣きじゃくる咲桜になんて声をかけていいのかわからなかった。
< 9 / 76 >

この作品をシェア

pagetop