🌸さくらのねがい🌸
「なんで?じゃあ俺のこと好きになってよ。」
そして再会したときに言えなかった、
「好き」という言葉を紡いでしまった俺に彼女は
「慎ちゃん、私、咲希ちゃんじゃないよ。」と苦しそうに言う。
もっとずっと前から、海斗みたいに気持ちに素直になっていれば良かったと後悔した。
そうしておけばこんな顔させなかったのにと。
「うん。知ってるよ。俺、本当は咲桜のことが好きだよ。
あっちに行ってからもずっと咲桜のこと考えてた。
咲希に好きと言ってたのはお前のことが好きだってこと隠すため。
咲希には速攻バレてたよ。俺が咲桜のことが好きだってこと。」
「海斗のこと好きって言えないんだったら俺のこと好きになって。
俺のことだけ考えて、もう海斗のこと考えないで。俺が傍にいるから。」
困らせると思った。でも困ればいいとも思った。
昔から俺のことなんて眼中になくて、いつも愛おしそうに海斗のことをみている。
今もそう、海斗のこと考えてた。
それが嫌で。俺も嫉妬深い嫌な女達と同じなのかも。
「ごめ、ん。わたし、」
「海斗でしょ?」
「そうだけど、私、慎ちゃんに嫌な顔いっぱいしたよね。」
「それは俺が意地悪したから当然でしょ。気にしないで、優しいね。」
傷つけたよね、ごめんねって意味だと思う。
「俺さ、咲希に咲桜は渡せなーい。ってずっと言われてたんだ。」
「え?」
咲希に俺が好きだと言うと必ず
『慎ちゃんは私のことじゃなくて咲桜のことが好きなんでしょ』と言われていた。
そして次に、『咲桜のこと任せられるのは海斗だけ、慎ちゃんはだめ。』と言われる。
「俺が咲桜のこと好きなのにちょっかいかけてよく泣かせてたから。
もう絶対泣かせないよ。約束する。」
「でも、ごめんなさい。」
そう深くお辞儀をしながらお断りされた。