🌸さくらのねがい🌸


まさか慎ちゃんが私のことを想っていてくれたなんて思いもよらなかった。



「気まずくなるなよ〜、断られるの分かってたし。
だから、これからも、仲良くして。いや、これからか。」なんて笑っている。



「うん、ありがとう。もう意地悪しないでね。」


「もちろん。ドン引きするくらい俺優しくなっちゃうけど。」と笑っている。





すっかり日が伸びた初夏の夕方、夕焼けが紫とピンクに染まっていて幻想的。





「空、綺麗だね。」





いつもつけているネックレスの桜のモチーフを空に向けるとその色に染まる。





「明日も、頑張ろう」と無意識に呟いていた。





「綺麗だな、それ」


「うん。私のおまもり。」




15歳の誕生日に海斗がくれた。


これをつけてたら不思議と生きる気力が生まれる気がする。




「寂しいよな。この大きな家にひとり。」





気づいたら私の家の前に着いていて、慎ちゃんが寂しそうに言う。





「寂しいよ。寂しいけど、大丈夫。」自分に言い聞かせる。



「慎ちゃん、また明日、学校で。」


「おーう、また明日。」




そう別れの挨拶をして玄関の扉を開けた。


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