冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
恭司side
新幹線の中。
窓際の席に座った恭司は、移り変わる景色を眺めて過ごしていた。
(なんとなく話が噛み合ってない気がするんだよな。気のせいか?)
美桜の前では年上の男性として振舞っていた恭司だったが……実は少しだけ焦燥に駆り立てられていた。
焦っても意味はない。人の命が関わっているような状況でもない限り、多少焦ったところで、結果が大幅に変わることなんて、日常ではそこまで多くないからだ。いついかなる時だって、慌てずに冷静に状況を見極めてきた。
美桜との関係性だって、少しずつ構築していけば良い。
そんな風に思っていたはずだったのだが……。
(俺はそもそもあいつの処女を奪ったから、このままだと夢が叶わないって言うし、母親みたいな目には遭わせたくないから、責任でもとってやるかって思っていただけ……だったのにな)
過去に想いを馳せて――自分の代わりに泣いてくれたり、恭司に寄り添ってくれようとする、純真無垢な美桜。
最初はペットをもう一匹増やすぐらいの感覚で、責任をとってやるか……ぐらいのつもりだった。けれども、過ごした時は短いけれど、いつの間にか自分の中で存在が大きくなりつつあった。
そして、それが原因で――美桜と曖昧なままの関係で過ごすだけの余裕が――恭司からは失われつつあった。
『恭司兄さん、美桜ちゃんがどんな人柄の子か知らんの? すごく優しい子なんや。俺のこと、嫌がってるわけないやろ? 会社に勤めてる時、ちゃんと俺の言うことを聞いてくれたし。自分こそ、この子の何なん?』
『だったら、自分の方がどうなん? 俺は部長やったけど、あんたは会社の最高責任者やろ? あんたの方が権力強いんやあらへんか? 美桜ちゃんの断れない性格を知らんわけやないよねえ?』
――自分よりも美桜のことを知っていると言いたげな異母弟・新宮順一の言葉が脳裏を過る。
(あいつの両親の説得は後回しだ。まずはあいつに俺の考えを伝えて言質をとるしかない。くそっ、今晩だったら贈り物が出来たかもしれないのに)
早く。
急げ。
急がないと。
恭司の胸の中、警鐘が鳴り響いている。