冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
『良かった、元気にしていたんだな』
父の声はどことなく安堵している雰囲気があった。
一方、美桜は心臓がおかしな音を立てて仕方がない。
昔はこうではなかったが、最近は特に父と話すのに緊張するようになってしまっていた。
喉がからからになりながら返事をした。
「はい、ごめんなさい。最近は連絡をしていなくて……」
ぽつぽつと返すと、父が思いがけない話を始めた。
『美桜、お前が無事なら良い。それで、今度新宮のご子息が新しい会社の新社長に就任する話は知っているか?』
まさかの新宮部長の話だった。
「一応、知っています」
すると。
父が喜々として会話をはじめる。
『私はそこで副社長に就任させてもらえることになったんだがな……美桜、どうして私に話をしてくれていなかったんだ?』
「何のことですか?」
いったい何の話か見当もつかない。
(もしかして噂のことかな?)
同じグループ会社の父の耳に入っていても、ちっともおかしくはなかった。
どう答えようか考えていると、いつになく父が声を弾ませながら告げてくる。
『とぼけないで良いんだ、順一坊ちゃん――いいや社長から直接話を聞いたよ。すまない、お前たちが好き合っているなんて考えもしていなかった。美桜も大人になったんだし、まあ父さんたちに隠し事ぐらいするか』
「え――?」
美桜は絶句してしまった。
(新宮部長と私が好き合っている? どういうことなの……?)
胸騒ぎがして落ち着かない。
『それでな、社長がわざわざ挨拶に来たんだ』
「挨拶、何のですか……?」
そうして、父親が喜々として話しかけてくる。
『社長がぜひお前と結婚したいとな』
――美桜は衝撃を受けたのだった。