冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
終業後。
なんとなく具合が悪そうに見えるからと社員たちから心配されたものの、なんとか定時まで頑張ってから、美桜は帰路についていた。
タクシーを呼ぼうか迷ったが、そんなに遠い距離でもないし、熱があったり、ふらつくわけでもないので、歩いて帰宅していた。
冬ということもあり、まだ少しだけ明るいが、うっすらと暗くなりつつある。
「寒いな」
昼休みの出来事を思い出して憂鬱になっていた。
(恭司さんが他の女性と会っていたこともだけど、新宮部長が私と結婚するって父に話してきているなんて……)
しかも、美桜の話はいっさい聞かずに、『新宮社長との結婚、良かったな。もちろん断らないよな?』と念押しのように告げられてしまった。
別に美桜は新宮部長のことは好きじゃなかった。
父だってそのことに気付いていて、わざと強く言ってこられた気がしていた。
(こんなことなら着信拒否したままにした方が良かったかな?)
とはいえ、新宮部長が勝手に父に会いに行っていたぐらいだから、遅かれ早かれ会社に会いに来るぐらいはされていた可能性がある。
(年末年始は実家に帰って来いって念押しされちゃった。とにかく恭司さんに相談しよう)
とりあえず恭司のマンションに先に立ち寄ろう。
そう考えて、美桜が公園を横切ろうとしたところ。
~♪~♪~♪
「電話、恭司さんからだ」
美桜はスマホの画面をタップすると応答した。
「もしもし」
『ああ、良かった。出張先から帰ってきて、総務に向かったら、もうお前は帰ったって言うから』
恭司の声を聞いて、美桜の気持ちが一気に上向いた。
昨日、別の女性と一緒に過ごしていたかもしれないという話もすっかりどこかに飛んでいってしまっていた。
「なんだか今日は体調が良くなくって、仕事が終わったらすぐに帰らせてもらったんです」
『そうか。少し無理させすぎたかもな。今日は帰ってきたら俺が何か作ってやるよ。俺もあんたの後を追い掛けてるから、そんなに遅くはならないはずだ』
「ありがとうございます」
美桜の胸の内が明るくなってくる。
「そういえば、実家に帰ろうと思うんです」
『ん? 一昨日だったかにも話したが、帰れる家があるんなら、帰ったら良いだろう?』
「実はそれ以外にも少々問題がありまして……」
『問題?』
「それが……」
そこまで話して、美桜はキョロキョロと周囲を見渡した。
「またマンションでお話しますね」
『そうか、分かった』
そうして、通話を終えた。
美桜がスマホ画面をタップすると同時にさっと影が差す。