冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
美桜は親の言うことに従順に育ってきていた。
誰かと結婚するのだとして、きっと両親が見繕ってくる相手と結婚するのだろう。
漠然とそんなことを考えて生きていた。
親の言いなりになるぐらいなら、誰とも結婚しないと決意できたのは、ひとえに恭司と身体の関係になったからに他ならない。
だけど、もしも恭司と出会わずに、順一からの申し出が一か月でも早く行われていたとしたら……?
「もしかしたら、優柔不断な私のままだったら、そうだったかもしれません」
「そうやろう? つまるところ、美桜ちゃんは別に恭司兄さんやなくたってええねん。せやから、僕と結婚……」
「だけど、私はもう恭司さんに出会ってしまいましたし、出会わなかった頃の自分には戻れません」
美桜がきっぱりと告げると、順一がじっとりとした視線を向けてきていたが、どことなく憐れんでいるかのようなものへと変貌する。
「可哀想やね、美桜ちゃん」
「え?」
「優しいから恭司兄さんから利用されてるだけなのに」
「どうして……そう思われるんですか?」
なんとなく順一の言い回しが気になって、胸がざわざわしてくる。
「美桜ちゃん、知ってるの? 兄さんがわざわざ新宮から離れて起業した理由?」
「それは、新宮一族とは仲が良くなかったからって窺っています」
すると、順一が得意げに話を続けた。
「一族から離れたいだけやったら、別に会社経営なんてせんでええんや。だって、あの人、ドイツのええとこの大学の医学部卒業やってん。何やらせても優秀なんや。能力あるんやったら黙って医者やっとけや。腹が立つ……って、まあそれは個人の感想やから、気にせんといて」
確か、御影マニュファクチャリングは、医療機器の製造・輸出入だったり、オンライン診療サービスのためのデータベースを作成したなどの功績が認められて、雪だるま式に大きな会社だったはずだ。
「お医者さん? だったら、どうして……?」
「そんなん決まってるやろ。俺たち新宮一族が憎いんや。だから、あの人は俺たち一族を潰したいと思うとる」