冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい


 新宮順一が出してきた条件。
 それを聞いた美桜の真ん丸な瞳が大きく揺れ動く。 

「新宮部長、それは……」

「美桜ちゃん、ダメなん?」

「ダメ……というか……」

 美桜はためらってしまった。
 すると、順一が以前のように穏やかな口調で告げてくる。

「美桜義姉ちゃんも捨てがたいけど、やっぱり美桜ちゃんには永遠に僕の妹分でいてほしいなって。後生やから、また順一お兄ちゃんって呼んでほしい」

 そう――順一の願いというのが――『美桜ちゃんにもう一度だけ順一お兄ちゃんって呼んでもらいたい』――というものだったのだ。
 なんだか気恥ずかしくて美桜は頬を赤らめたまま俯いてしまった。

「その、子どもの頃の呼び名なので……」

「じゃあ、順一さんでも良いよ」

「えっ……!」

 いずれにせよ美桜の戸惑いは強くなってしまう。
 しかしながら、少々緊張した面持ちではありつつもキッパリと答えた。

「新宮部長は恭司さんについて私に嘘を吐いています。そんな人のお願いを聞くことはできません」

 順一の瞳が揺れ動く。
 美桜はハキハキと続ける。

「そもそも噂だけじゃ私は恭司さんのことは判断しません。ちゃんと本人から聞いた話しか信じるつもりはありません」

 恭司が新宮一族のことを嫌っているのは確かだし、もしかすると憎んでいるから新宮グループを潰したいのだって本当かもしれない。
 だけど、恭司が美桜のことを利用して近づいたというのは絶対に嘘だと思う。
 
「恭司さんは有益になる行動はするけれど、わざわざ誰かが嫌がることをして悦に浸るタイプの男性じゃないはずです。だから、恭司さんが新宮一族を潰したいかどうかはわかりませんが、わざわざ私を使ってどうこうしないと思います。やるなら正々堂々潰しにかかると思うんです」

 すると……。
 順一がポツリと呟いた。

「あ~あ、昔っから恭司兄さんばっかり羨ましいな」

 そうして、大仰に肩をすくめながら訴えかけてくる。

「まあ、ええよ。兄さんの会社潰すって脅しても乗ってもらえんとか、僕はショックや。恭司兄さんみたいに強気な方が美桜ちゃんの好みなんかなって、気弱な僕なりに頑張ったんやけどね、悔しいなあ」

 順一のややオーバーな反応に、美桜はキョトンとしてしまった。
 そうして、順一があっけらかんと告げてくる。

「演技や、演技。美桜ちゃんと違って主演男優賞とか取れそうやね、僕って」
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