冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
順一と別れた後、美桜は恭司のマンションへと帰って、恭司の帰りを待っていた。
(新宮部長、恭司さんに関する忠告はしてきたけれど、私との結婚自体は諦めたのかな?)
ひとまず父親からは連絡が入っていない。
とりあえずは今日はもう夜だし、これ以上はどうしようもない。
明日以降に相手の動きから考えた方が良いだろう。
「それにしても……恭司さん、早く帰るって言ってたのにな」
時計を見れば、もう夜も十時近い。
食事を作ってやると言ってくれていたけれど、「用事ができた。飯は宅配でも頼んでくれ」と一言だけメールが来ていたのだ。
(お仕事の用事なら仕方がないもの)
なんとなく一抹の寂しさはあるものの仕方がない。
恭司にとっては美桜の優先度がそこまで高くはないという証拠なような気もして、それもそれで悲しかった。
(とりえあず明日もお仕事だし、恭司さんに色々とお話するのは明日になるかな? 遅いけど事故に遭ったりしてないよね?)
チクタクチクタク。
時計の音がむなしく響く。
なんだかソワソワしてきた。
ちょうどその時、ゆっくりと扉が開く。
恭司だろうかと思ってパッと背後を振り向くと――。
「にゃあ」
黒猫ミオが姿を現すと、美桜の身体にジャンプしてくる。
抱っこするとふわふわしているのにサラサラの毛並み。
腕の中に抱きしめるとズシリと重くて温かい。
それに伴って美桜の胸の内まで温かかくなってくる。
「ミオちゃん、ありがとう」
そうして、美桜はミオをぎゅっと強く抱きしめた。
なんだか落ち込みかけていたけれど、ふわふわの身体を抱きしめていたら、不安がどこかに飛んでいくかのようだ。
「にゃあ?」
黒猫ミオが美桜のことを心配そうに覗き込んでくる。
しばらく抱きしめて過ごすけれど……やはり恭司が帰ってこない。
美桜はポツリと呟いた。
「《《最後》》くらい一緒にご飯を食べたかったな」
ちょうどその時。
ガチャリ。
玄関の音が響く。
(今度こそ恭司さんだ……!)
美桜は立ち上がると玄関に向かって駆け始めた。
廊下の灯りを点けながら、玄関先へ向かう。
「恭司さん、お帰りなさい……」
けれども、目の前に現れた人物を見て、美桜は驚きのあまり小さな悲鳴をあげる。