冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
 新宮家のお屋敷の中。
 洋風の部屋の中、美桜は閉じ込められてしまっていた。
 頭上にはチューリップの形をしたシャンデリア、木の枠で出来たガラス窓、古めかしい暖炉が備え付けられたりと、まるで中世のヨーロッパにでも紛れ込んでしまったような場所だけれども、どことなく日本らしさのある不思議な場所だった。

(拉致監禁は現代日本だと犯罪なんだから……!)

 そうは思うものの、不思議な力というかお金の力が働いて、美桜が監禁拉致させられている事実を揉み消されてしまうのだろうか?
 せっかく世間はクリスマス・イブでにぎわっているというのに……。

(恭司さんと約束してたのに間に合わせなきゃ……!)
 
 どうにかして逃げ出せないかと窓を覗く。
 遠く彼方に見える地面を見て、ゾッとしてしまった。
 ……ここは三階。高すぎて飛び降りれそうにない。

「うう、打ちどころが悪くなかったら死なないのかもしれないけど、さすがに骨折しそう……きゃっ!」

 冷たい風が地面の方から吹き上げてきて、美桜の黒髪と一緒に桜色の振袖の(たもと)がはためく。
 そう、無理やり婚約披露のために着物に着替えることになってしまったのだ。

(新宮一族って由緒正しいお家柄じゃないの? 結婚披露のはずなのに桜柄は演技が悪いんだから……!)

 美桜は頬を膨らませながら怒っていた。
 とはいえ、入ってきた使用人たちに身ぐるみを剥がされてしまった。
 冬で寒いので、準備されていた着物を自分で着付けたのだった。

「どうしようかな?」

 窓の前にはちょうど大きな木が立っている。
 枯れてしまっており、ほとんど葉は残っていない。
 枝が窓の近くまで伸びており、もしかすると届くかもしれないけれど……。

「私は運動神経があんまりないから、飛び移って失敗したら落ちるよね」

 どうしたものかと考えていたら、黒猫ミオが暖炉の中からぬっと顔を覗かせた。

「みゃあ」
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