冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
美桜の心がパアッと明るくなる。順一から抱き寄せられていることを思い出し、相手の顔を両手でぐぐっと押しのけていると……。
「にゃっ!」
順一に向かって黒猫ミオが飛びついた。
おかげさまで、美桜は解放される。
「ミオちゃん、ありがとう!」
「にゃん!」
美桜は黒猫ミオを抱っこした。
恭司の登場に貴賓席に座る一同がざわめきはじめる。
新宮順一の母・環が椅子から立ち上がると恭司に向かって騒ぎ立てる。
「なんや、呼びもしとらんのに。不法侵入もええとこや。つまみ出せ!」
すると、近くを横切った恭司が侮蔑を含んだ眼差しを一瞬だけチラリと送った。
「残念だが、ここは俺の実家でもあるんでね」
「何やと! 梅田の娘と結婚して、この家を継ぐんは、お前やのうて順一や! そうなったらこの屋敷には一歩たりとも踏み入らせんで!」
金切り声を上げる環に向かって、新宮家秘書が眼鏡を上げながら告げた。
「奥様、申し上げにくいのですが……ご当主の新宮譲之助様からは、後継者は梅田美桜様の子ども様とだけしか明記されておらず……子ども様の父親が順一様とは指定はされておりません」
「ふうん、そうなん?」
美桜の隣に立つ順一が面白そうに掌をヒラヒラさせながら軽い口調で述べた。
「なら、恭司兄さんのこと摘まみ出せんのやない? 母さんも血圧上がるで? ひとまず座ったらどうなん?」
環が舌打ちをしながら着席する。
シンと静まり返った中、恭司が壇上へと登ってきた。
順一が美桜にだけ聴こえる声量で話をはじめる。
「ほら、お姫様の美桜ちゃんが昔っから大好きな騎士様の登場や」
彼が少しだけ寂しそうに笑ったのを、彼女は見逃さなかった。
そうして、壇上に上がってきた恭司が美桜の身体を黒猫ミオごと抱き寄せる。
「遅くなったな、美桜」
「恭司さん!」
恭司から力強く抱き寄せられて、頬を擦り寄せられる。
外を走ってきたのだろうか。彼の頬に触れると冷たかったけれど、心がポカポカ温かくなってきた。
美桜は嬉しくて仕方がなかったけれど……じっと上目遣いで先に謝罪することにする。
「ごめんなさい、おかしなことに巻き込まれてしまいました」
「ん? 俺が悪かったんだ。あんたが相談しづらい状況を作ったのは俺だ」
恭司が美桜の髪を撫でながら、柔らかく微笑んでくる。
大好きな人が約束通りにやってきてくれたのが嬉しくてますます嬉しくなってきて、美桜も頬を赤くして微笑んだ。
「お熱いところ悪いんやけど……」