冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
 恭司に連れられて美桜はしばらく廊下を歩いて正面玄関へと向かっていた。

「恭司さん、知らぬ間に裏で色んな根回しをされていたんですね」

「ん? ああ、そうだな。クリスマス・イブにあんたに色々話す前に身辺整理でもしておこうかと思ってな」

 なんとはなしに答える恭司に、美桜が喜々として答えた。

「身辺整理で新宮家の株を買っちゃったりするんですね? それにしても、恭司さんに意地悪してた新宮家の人たちも恭司さんが新しいご当主になるのに賛成しているみたいで良かったです! 最後は拍手までしてましたし」

 すると、恭司が口の端をゆるりと吊り上げた。

「ああいうのはな、とりあえず場の雰囲気だ」

「え?」

「とりあえず自信ありげに振舞っていたら切り抜けられる」

「そうなんですか?」

 美桜が首を傾げていると……。

「美桜ちゃんは純粋やね。やから、恭司兄さんに騙されたんや」

「うんうん、美桜は純粋なんだ。誰かが守ってやらないといけない」

 背後を勢いよく振り向くと――順一と佳代がうんうん頷いていた。

(二人ともいつの間についてきてたの……!?)

 恭司が気にも留めずに前進していたが、突然立ち止まった。

「美桜の噂の元凶のお出ましだな」

「噂の元凶……?」

「ああ、あれだけ派手にやれば勝手に尻尾を出してくれるとは思っていたが、想像よりも早かったな」

 恭司の視線の先。
 開け放たれた正面玄関の向こう側にポツンと着物姿の女性が立っていた。
 髪を振り乱した姿は、まるで夜叉のようだ。
 真っ赤な唇を開くと金切り声を上げた。

「茶番も良い加減にしとき! あんなん八百長や! 話やって無効に決まっとる! 順一も順一や! あっさり恭司に負けおって!」

 ――順一の母・新宮環だ。
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