冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
(恭司さんのことを虐めていた義理のお母さん。恭司さんが新宮家の新当主になったのが気に喰わないんだ)
恭司が何か言い返そうとする前に、順一が前に躍り出て、実母と対峙する。
「悪いな、母さん。僕ももう自由になりたい。昔っから恭司兄さんのことを慕ってるのに敵対するのもしんどいし。それにもう……僕は母さんを庇いきれへん」
母親に切り返そうとした順一のことを――恭司が制した。
「順一、悪いようにはしない。血の繋がった息子のお前だけは、最後まで味方でいてやれ」
そうして、恭司が義母・環と対峙する。
「そもそもが親父の言い出した茶番だろう? 真面目に取り合うのが悪い」
「なんやて……!? 昔からこざかしいガキや! お前の適当な当主理論は無効やって弁護士に言いつけてやる!」
環に向かって恭司が続ける。
「……それよりもだ」
「なんや?」
「お前が犯した罪の数々を、今からでも色々白状したら、警察には黙っておいてやって構わない」
「は? 人を犯罪者呼ばわりして、あんたの方こそ名誉棄損や! 今から相談しに行くんやからな!」
そうして、新宮環がその場からいなくなろうとしたその時、恭司が口を開いた。
「あんただろう? 美桜を悪くいうように職場で噂を流すように、部下たちに命じたのは」
美桜はハッとなった。
(新宮部長のお母様が私の悪い噂を流したの……?)
新宮環が噂の元凶だったのか――!
恭司が事の真相を語りはじめる。
「あんたの性格だから、本当は順一と河内の二人にストレートに婚約してほしかったのに、当の順一は美桜のことを好きだった。だから、美桜のことを邪魔に思って、新宮の社員たちを使って、おかしな噂を流したんだ。家族ぐるみで社員してるやつらも多かったしな。せっかく長年働いてきた部下の娘に対して酷い扱いだ。結局あんたは、人を駒だとか自分を輝かせるための道具か憂さ晴らしの玩具ぐらいにしか思っていない」
美桜の瞳が忙しなく揺れ動く。
(そんな……)
新宮環は一瞬だけ息を呑んだが、すぐに抗議をはじめる。
「ふん! そんなん、あんたの想像やないか! 長く一緒に働いてくれる部下の梅田と可愛い息子の順一の二人を雑に使うわけあらへんやろ! 噂だって順一のためや!」
恭司が返した。
「噂の元凶だってことは否定しないんだな」
新宮環が舌打ちをした。
「昔っから生意気な子どもやな、あんたは……恭司」
「そもそも順一のためだと思って噂を流すんだって主張するんなら……順一の気持ちは考えてやれなかったのか? 結果的に子どもの恋路の邪魔にしかなっていないし、社員たちの気持ちも離れていった。やり方が時代にそぐわないしな。さっきだって、ギャラリーがあんなにいたのに、あんたを誰も庇わないどころか諫めてきただろう?」
恭司の言った通りだった。
周囲に誰もいなくなった新宮環。
暗闇の中、ポツンと一人きり。
彼女の身体がわなわなと震える
――恭司が畳みかける。
「あんたは昔から自分のことを棚に上げて他人を叩きすぎるきらいがある。結局は自分がうまくいってないのを他人に当たって憂さを晴らしているだけだ。感情的になって、その場の気分で動いて誰かを攻撃して、後先を考えきれない。癇癪を起すだけの子どもだよ。だから、今回の結果は当然の結果だ」
「なんや、誰かが惨めになるのを見たいとか、あんたも私と変わらへんやないか……! 裁きたいんなら裁けばええ! 悦に浸っておけ!」