冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
恭司が少しだけ苦しそうに告げた。
「自分でも気づいてなかったが、どうにも俺は独占欲が強いらしい。子どもじみているがな……あんたが他の男とどうにかならないか心配で頭がおかしくなりそうだった」
実際に昨晩の恭司は荒れていたので、言った通りなのだろう。
美桜はそっと彼のサラサラの黒髪に手を添えた。
黒曜石みたいに綺麗な瞳と出会う。
少しだけ縋るような視線を感じた。
「私は恭司さん以外の男性とはどうにもならないです」
「本当に?」
「もちろんです! こんなにたくさん全身で好きって伝えてくる男性は、私には恭司さんだけです」
「全身で好き?」
「恭司さんは言葉よりも行動や態度で愛を伝えてくれるタイプだなって思ってます」
すると。
恭司が目の下を赤く染めながら嬉しそうに微笑んだ。
「初めて愛した女にそんな風に言ってもらえるなら悪くないな」
なんだか少年のような素直な恭司が珍しくて、胸がきゅんと疼いてしまった。
「でしたら、私も嬉しいです。……それにしても……ペットじゃなくて……? たくさん……? 私が恭司さんに結婚してほしいって遠回しに言ってきていると思ってた……?」
美桜が考えていると……。
恭司が真顔で答えてきた。
「てっきり家族のことだと思っていたんだがな……まあ良いか」
「家族……もしかして……」
「俺の子どもがたくさん欲しいんだと思ってたな」
「にゃっ……!」
衝撃で――美桜の口から猫みたいな声が漏れ出た。
「だ、だから、たくさんしてたんですか?」
「ああ」
恭司がキッパリと答えた。
「これまでも結婚を迫って来た女は数多くいたが……」
モテる男性だから多そうではある。
「俺のことをヤリ捨てて姿を消すわ、『初めての男性と結婚するつもりだった』『たくさん欲しい』って無邪気に結婚を迫ってくるわ、かなり珍しいタイプの女だなと思ってな。好きかどうかはともかくとして、飽きが来なさそうだし責任とってやるかと思ってな。幸せな家庭とやらは経験したことがないからよく分からないが、あんたに教えてもらえれば良いかぐらいの気持ちでいたんだ」
美桜は軽くショックを受けた。
「じゃあ、最初から恭司さんは私と結婚してくださるつもりだったんですか?」
「ん? まあ、そうなるか?」
「そ、それでたくさん。私はてっきり……ドイツで難波副社長が尋ねてきた時の一件もあったし、女性慣れしている男性だから、私はセフレか愛人枠か何かなのかなと……勝手にそんな悪い男の人だって思ってしまいました。ごめんなさい」
「今時、セフレ作ってたり愛人とか囲ってたら足元すくわれるからな。それにしたって……」
恭司が美桜のことをじっと見てきていた。
「ドイツで難波はあんたを見ていないと話していたんだが……」
「恭司さんが爆睡していたら、難波副社長がドアをどんどん叩いてたんですよ。その時に『恭司、お前また女連れ込んでないだろうな』って」
すると、恭司がうんざりした表情を浮かべた。
「難波、あいつやっぱり降格させるか……仲良し人事はダメだな」
「え? 可哀想ですよ。空回りしつつも恭司さんのことを心配する良いお友達さんだと思います。自分を大事にしてくれる人は大事にしてあげてください」
「まあ、嫁がそういうならそうするか……」
「嫁……」
なんだかドキドキしてきたのを誤魔化したくて、美桜は話を逸らした。
「……そういえば恭司さんも子どもの話をしていましたが、恭司さんのお父様もまだ見ぬ孫の話をしてくるなんて気が早いですよね?」
すると。
恭司が面食らった表情を浮かべた。
「そんなに気が早くはないかもな?」
「どうしてですか……?」
「俺はお前が鈍くて心配だ。そういうところも好きだけどな」
「え? え? どういうことですか?」
「まあ、そのうち分かるんじゃないか?」
そうして――恭司が美桜の頬に何度か口づけてくる。
同時に彼が左手に何かをしていた。
唇と指から彼がそっと離れると、蕩けるような笑顔で告げてくる。
「勘違いして俺の心を弄んだ責任をとってくれよ」
「あっ、恭司さん……私は恭司さんの心を弄んだりは……んんっ」
「自覚がないとか、悪い女だ」
そうして、ゆっくりと唇が重なる。
彼の手が彼女の乳房を覆う。
もう片方の手が彼女の太腿を擦りはじめた。
次第に口づけが深くなっていく。
「愛している。今夜は寝かせるつもりはない。覚悟してくれ、美桜」
「……はい、恭司さん、あっ……」
想いが通じ合って心と体のどちらも繋がり合った夜。
二人は飽きることなく互いの熱を求め合ったのだった。
左手の薬指――綺麗なダイヤモンドの指輪が輝いているのに美桜はまだ気づけないのだった。