冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
第2章 日本での再会
社長室で恭司に挨拶してから数日が経った。
美桜もだいぶ新しい職場にだいぶ適応できてきた。
機械関係の会社ということもあって、全体的に男性が多い職場だが、美桜の配属された総務部には女性たちも多い。
(営業や企画のお仕事よりも派手さはないけれど、総務部は黙々とお仕事が出来て楽しい)
総務部の仕事はといえば、文書管理に印章管理、消耗品などの管理から、秘書業務、会社内外とのやりとりまで幅広い。
美桜はまだ入社したばかりなので、とりあえずは書類の整理やファイリング、歳暮の発送や年末の挨拶の準備、議事録の作成などの比較的単純な作業を任せてもらっていた。
(来年はぜひ対外広報とかも任せたいって課長や部長にも頼まれたから、頑張らないといけないな)
デスクに座って作業を続ける美桜に向かって、女性職員が声をかけてくる。
「梅田さん、お疲れ様。今日は夜になったら雨が降るみたいだから、あんまり遅くならないようにね」
「はい、ありがとうございます。お疲れ様です」
今日は十二月も半ばに迫った金曜日。
しばらく前までは総務部は年末調整の仕事で多忙だったようだ。これからクリスマスや正月も控えているということもあり、忙しくなる前の小休憩といったところで、皆早めに退社しているようだ。
だというのに――美桜はまだ社内のデスクの前に座って仕事をしていた。
(あと少しで終わるはずなんだけどな……)
周りはもうすっかり退社してしまっており、だだっ広い室内の中に一人きりだ。
(見積もりが甘かったかも)
仕事に早く慣れたいからと、顧客データ整理の業務を請け負ったのだが、それが意外と時間がかかってしまったのだ。とはいえ、週明けには顧客データを整理した上で文書を提出しないといけない。土日にわざわざ出勤したくないので、金曜の今日中に終わらせることにしたのだ。
とはいえ……。
(前の職場でもやっていたからって、調子に乗って引き受け過ぎたなあ、反省)
自分の力量以上の仕事を引き受けてしまって、心の中で悲鳴を上げながら作業を進めていた。
そうこうしていたら、すっかり暗くなってしまった。
時計は夜八時を過ぎている。
それからまたしばらくした頃、バタバタと窓辺を雨粒が打ち付けはじめた。
「雨……!」
先程の女性職員の予言通り、雨が降りはじめた。
会社のあるビルは街中にあり、しばらく歩いた先に地下鉄がありはするけれども、雨に濡れてしまうだろう。入社してそんなに経っていないので、置き傘だったり折りたたみ傘だったりを所持していない。
「会社のコンビニももう閉まってるよね」
少々憂鬱な気持ちになりながら、美桜はふうっと溜息を吐いた。
とりあえず仕事を再開してPCとにらめっこを続ける。
カタカタカタカタ。
しばらく集中して文字を討ち続けた後、エンターキーをポチリと押すと文書が完成した!
「もう少しのはず……よし、出来た!」
歓喜の声と共に背伸びをした、その瞬間。
稲光が閃くと同時に轟音が鳴り響いた、
「きゃあっ!」
一瞬だけ、室内が明滅する。
どうやら停電したようだが、予備電源に切り替わったのか、すぐに灯りが戻ってくる。
「良かった、って……そんなっ……!」