冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
翌朝、少しだけ昼に近づいてきた頃。
美桜は黒猫ミオを連れて外を散歩をしていた。
今日は休日だからか、子ども達の数が平日よりも比較的少ない。
少しだけ離れた場所に遊具が多い大きな公園があるので、家族連れはそちらに遊びに行っているのかもしれない。
紅葉が終わった木たちを眺めながら、美桜はミオを抱きしめたまま進む。
少しだけ冷たい風が吹くと、かろうじて枝に引っかかっていた落ち葉が舞った。
「にゃあ!」
「ミオちゃん!」
美桜の腕の中からミオがするりと抜け出すと、落ち葉を踏んで遊びはじめた。
「カサカサ音が鳴って楽しいのかな?」
「みゃ!」
しばらく眺めていたら、ふと視線を感じた。
白髪を綺麗に頭の後ろに撫でつけていて、和装を纏った品の良い老人男性が、ベンチに腰かけているではないか。しかもこっちをじっと見てきている。老人だが迫力があって、どう考えても……。
(堅気の人には見えないのですが……)
見た目で判断してはいけない。
そうは思うが、老人には何とも言えない迫力があった。
ふと、とある人物が脳裏を過る。
(ちょっと怖い感じの雰囲気が恭司さんを思い出しちゃった)
そんな強面な老人だが、どうにも感極まった視線をこちらに向けてきている。
しかも、美桜を見ているわけではなく、黒猫ミオのことを見ているようだ。
視線に気づいたらしいミオが、突如としてその老人の元へと向かう。そのまま飛び掛かってしまう。
「あ、ごめんなさい! ミオ、ダメよ、知らない人に飛び掛かったら」
美桜は悲鳴を上げながら後を追った。
人懐っこい猫だとは思っていたが、ヒヤヒヤしてしまう。
すると、ミオを抱きしめながら、老人が歓喜の声を上げた。
「おお、タマ、ここにおったんかい?」
追いついた美桜は首を傾げる。
「タマ? ミオのことですか?」
「ん? お嬢さん、ミオとはタマのことかな?」
「はい、そうなんです」
すると、老人が嬉しそうにミオのことを撫で始めた。
ミオも嫌がるどころか、ゴロゴロ嬉しそうに鳴いている。
「おやおや、そうかい。こんな可愛らしいお嬢さんに拾われとったんか」
老人はどうやらミオのことを元々知っているようだ。
そう言われれば、元々黒猫ミオは近所の公園で恭司に拾われたという話だった。
「拾ったのは私ではないんですが、お世話をさせていただいています。その、もしかして、ミオの飼い主だった方ですか?」
だとしたら、元々の飼い主に返した方が良いだろう。
「その、飼い主さんだったなら、拾った人物に事情をお話しようと思うのですが」