冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
美桜と恭司の二人は、黒猫ミオを連れて夜の公園に出向いていた。
「ほら、ミオ、遊んでおいで」
「にゃお!」
ミオが公園の砂場の周囲をうろうろした後、砂の上でごろごろと寝転がりはじめた。
「あいつ、さっそく怠けているぞ」
「せっかくだから自由にさせましょう。ミオの好きなことをして遊んでもらうのが一番です」
「まあ、それもそうかもな」
ちょうど、近くにブランコがある。
二台設置してあるので、二人で座るにはもってこいだ。
「恭司さん、ブランコに一緒に乗りましょうよ」
「ブランコ? 分かったよ」
そうして、恭司と美桜がそれぞれのブランコに座った。
ちょうど月のない夜だからか、星の瞬きが美しい。
ブランコに揺られていると、なんだか童心に帰ったようで、心が弾んできた。
「公園の遊具でブランコが一番好きだったんです。恭司さんはどうでしたか?」
すると。恭司が苦笑いを浮かべた。
「そうか、俺はあんまりこういう場所で遊んだ試しがないからな」
「遊んだことがないんですか?」
「ああ」
もしかすると、どこかの御曹司だったりお金持ちの息子だったりすると、遊具で遊ぶのは危険だとか、砂場は不衛生だからと、子ども時代に制限がかかったのかもしれない。
「六歳違えば、遊んでいた遊具やオモチャも全然違いますしね」
「それもそうだな」
すると、恭司がポツポツと話をはじめた。
「あんたになら話してみても良いか」
「なんですか?」
美桜はなんとはなしに問いかけた。
「俺はな、愛人の子なんだ」
「え?」
これまで自分の話なんてほとんどしてこなかったはずの恭司が自身の身の上話をはじめたではないか。
「俺の父親は名家の息子でな。勤め先で出会った俺の母親と付き合っていたらしいんだが……そのうち父親には婚約者が出来て、そっちの女と結婚した。俺の母親は俺のことを身籠っていたが、父親の邪魔になったら良くないからと、身を引いたらしい」
つまるところ、恭司は生まれが嫡出子ではないというだけで、名家の御曹司だ。
美桜はなんと答えて良いか分からず、そのまま黙って聞くことにした。
「結局、そんなに心の強くなかった俺の母親では、一人で俺のことを育てきれなかった。だから、俺は父親のところで育てられることになったんだが……」
恭司が膝の上に乗せた両手をきつく握りしめる。
「いわゆる名家ってのは格式にこだわるわけだ。『愛人の子』だって、父親の嫁だけじゃなく、親戚一同からも『お前のことは認めない』って嫌われて育った。そんな中でも異母弟とは割と仲良くできる時もあったんだ。あいつの母親が俺を毛嫌いしてたんだが、兄弟でこっそり隠れて猫を飼ったりもした」