冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
シルエットですぐに分かった。
恭司よりもやや身長が低くて細身の男性だ。
美桜は猫のようにびくついて、ブランコから飛び降りた。
先ほど恭司が言い残していった言葉が脳裏を過る。
『おかしな男にはついていくなよ』
こんな時に限って、ドイツでおかしな男に追い回された思い出が脳裏を過る。
(あ……)
美桜の血の気が引いていく。
心臓がバクバクとおかしな音を立てている。
まだちょっとあの件がトラウマになっているようだ。
逃げないといけない。
けれども、恭司からは待っていろと言われた。
(ちゃんと自分で考えないと……)
さすがに恭司だって、知らない男に襲われるぐらいなら、その場から逃げろというだろう。
――ここは逃げるしかない。
美桜が一歩後ずさった、その時。
「梅田? そこにいるのは梅田やろ?」
美桜はハッとする。
(この声……)
顔を上げると、声の主の方へと視線を向ける。
少しだけ色素の薄い髪色に、キリリとした眉に穏やかそうな眼差し、上品ですっきりした顔立ちの美青年。
荒々しい獣のような恭司とは違って、貴公子然とした優美な所作でこちらに歩を進めてくるのは――前の会社の上司・新宮順一だった。
いかにも御曹司といった出で立ちで、休日だけれど品の良いスーツの上に高価なコートを身に纏っている。
「新宮部長……!」
美桜が声を上げると、相手が歓喜の声を上げてくる。
「やっぱり梅田や。僕のお気に入りの、妹分の美桜ちゃんや」
気付いた時には接近してこられていて、ぼんやりしていた美桜の目の前に新宮部長がそばに立っていた。
恭司よりも少しだけ低いがかなりの長身男性だ。
見下ろされると、まるで大人と子どものようでもある。
穏やかで優しくて気さくな人物だったのに、多くの女性社員たちの憧れの存在だった。
(どうして新宮部長がこんなところに……?)