冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
「そうか? それなら良かった」
「恭司さん、想像以上に大変なご経験をされているから、私をはじめ……色んな人に優しくしてくださるんですね」
「ん? 部下たちからは冷たいってよく言われるし、特別優しいのはあんたにだけだよ」
慈愛に満ちた視線を向けられると、美桜の心がきゅうっと疼いた。
(私にだけ……)
自分でも現金だとは思うが、特別に優しくしてもらっているのだとしたら、嬉しくて堪らない。
「子どもの頃の恭司さんが大変な目に遭った分、これから先何かあったら私が恭司さんを助けますから、すぐに教えてくださいね」
「ん? そうか、それなら助かるな」
「はい、これから先、恭司さんがずっと幸せになりますように」
恭司がふっと微笑んだ。
「まあ、俺の話はさておきだ。どうだ、このマンション、気に入ったか?」
「はい、すごく素敵だと思います。低い階だけど日当たりも良いって素敵! お値段はいくらぐらいするんだろう?」
ちょうど近くにチラシがあったのでパッと手に取る。値段を見て衝撃を受けた。
(一十百千万、十万、百万、千万……いち……)
そこでピタリと制止した。
美桜は瞳を潤ませながら、恭司に訴えかける。
「恭司さん、こんな恐ろしい場所には住めません」
「なんだよ。恐ろしい場所って……今さっきまで喜んでただろう?」
「素敵な場所ですが、お、お値段が凶悪すぎました」
独身でこれからコンスタントに働き続けられたとしても、さすがにこのマンションは高すぎて払えない気がする。
恭司が黒髪をかき上げながら告げた。
「別に大した額じゃあない」
「大した額ですよ……!?」
美桜の鬼気迫る表情に根負けしたのか、恭司がハアっと溜息を吐いた。
「まあ、あんたが嫌なら仕方がないか。家探しは一軒家でも良いし。管理が面倒だって言っていたが、ものすごくバカでかい屋敷を建てなきゃどうにかなるだろう。せっかくだし、モデルルームでも……」
ちょうどその時。
恭司のスマホが鳴った。
「ああ、もしもし……」
美桜はもうきっと来ることはないだろう。
マンションを眺めて過ごす。
住めたら楽しそうな場所だが、やはり分相応の暮らしが落ち着くに違いない。
(私にはちょっと高望みすぎるかも。そういえば、結局、恭司さんのいう面倒を見るって、どういうことなんだろう?)
もしも……。
(もしも、恭司さんがこれから先もずっと私の面倒を見てくれるっていうんだったら……)
どんな形で面倒を見てくれるのか勇気を出して聞くべきだ。
(ドキドキして待つのも嫌いじゃないけど……)
ちょうど、恭司の電話が終わった。
すると、美桜の頭をくしゃくしゃにしてくる。
「きゃっ……!」