泡沫の月に幽玄の狼
***
週明けの月曜日。
わたしは仕事帰り、芝浦くんから聞いたあの場所へと向かっていた。
小学生も帰宅している時間帯で人気が無い青葉公園。
そして、その斜め向かいにあるまだ建て替えられたばかりのこじんまりとした青葉交番へ一歩一歩と歩みを進めて行く。
(あそこに···絃士がいる?)
そう思い、わたしはドキドキしながらゆっくりと交番へと近付いて行った。
青葉交番の手前まで来たところで、わたしは少し遠めから交番の中を覗いて見る。
すると、そこには―――
濃紺色の制帽に警察官がよく着ている濃紺色の上下に白いワイシャツ、ネクタイをつけ、胸には無線機を下げている絃士の姿があったのだ。
絃士は簡易的なデスクを前に椅子に座りながら、何か書類のようなものを書いていた。
わたしが遠めから黙って絃士を眺めた。
絃士を見ていると、あの頃を思い出してしまう。
初めて絃士と会話を交わした屋上でのこと。
一緒に下校した帰り道。
あの頃から抱き始めた、絃士への恋心。
それから、絃士からの告白で付き合うようになり、絃士が警察学校に通い、警察官になるのを見届け、一緒に過ごした何気無い時間に、プロポーズのあの言葉。
そして···―――
絃士の姿を見ただけで、色んな思い出や絃士への想いが駆け巡る。
すると、わたしの視線に気付いたのか、絃士がふと顔を上げ、こちらに視線を向けたのだ。
それに驚いたわたしは、思わず咄嗟に逃げようと背を向ける。
「―――っ都子?!」
背中から聞こえるその声にわたしは足を止める。
普段は気怠そうな低い声なのに、わたしを呼ぶ時は優しく穏やかなになるその声。
(···絃士の声だ)
週明けの月曜日。
わたしは仕事帰り、芝浦くんから聞いたあの場所へと向かっていた。
小学生も帰宅している時間帯で人気が無い青葉公園。
そして、その斜め向かいにあるまだ建て替えられたばかりのこじんまりとした青葉交番へ一歩一歩と歩みを進めて行く。
(あそこに···絃士がいる?)
そう思い、わたしはドキドキしながらゆっくりと交番へと近付いて行った。
青葉交番の手前まで来たところで、わたしは少し遠めから交番の中を覗いて見る。
すると、そこには―――
濃紺色の制帽に警察官がよく着ている濃紺色の上下に白いワイシャツ、ネクタイをつけ、胸には無線機を下げている絃士の姿があったのだ。
絃士は簡易的なデスクを前に椅子に座りながら、何か書類のようなものを書いていた。
わたしが遠めから黙って絃士を眺めた。
絃士を見ていると、あの頃を思い出してしまう。
初めて絃士と会話を交わした屋上でのこと。
一緒に下校した帰り道。
あの頃から抱き始めた、絃士への恋心。
それから、絃士からの告白で付き合うようになり、絃士が警察学校に通い、警察官になるのを見届け、一緒に過ごした何気無い時間に、プロポーズのあの言葉。
そして···―――
絃士の姿を見ただけで、色んな思い出や絃士への想いが駆け巡る。
すると、わたしの視線に気付いたのか、絃士がふと顔を上げ、こちらに視線を向けたのだ。
それに驚いたわたしは、思わず咄嗟に逃げようと背を向ける。
「―――っ都子?!」
背中から聞こえるその声にわたしは足を止める。
普段は気怠そうな低い声なのに、わたしを呼ぶ時は優しく穏やかなになるその声。
(···絃士の声だ)