泡沫の月に幽玄の狼
Story.4
***
秋風から冬の冷たさに空気が切り替わる11月の終わり頃。
わたしはいつものように仕事を終え、帰りには青葉交番へ立ち寄るつもりでいた。
しかし、会社を出たその時―――
「すいません、鳳月都子さんですよね?」
20代後半くらいのボブヘアの女性が、まるでわたしを待っていたかのように会社の入口横から出て来て、話し掛けてきたのだ。
「そうですけど···、どなたですか?」
わたしがそう尋ねると、その女性は上着の内ポケットから何かを取り出し、それを開いて見せた。
それは、警察手帳だった。
「捜査一課の椎名(しいな)と申します。少しお話よろしいですか?」
(警察の人が、わたしに話し?何だろう···)
わたしは不思議に思いながらも「はい」と返事した。
それからわたしは椎名と名乗る女性と一緒に会社近辺にあるカフェへと入った。
椎名さんは注文を取りに来た店員さんに「わたしはブラック、ホットで」と言ったあとに、わたしに「鳳月さんは?」と訊いた。
「あ、じゃあ、わたしはホットのミルクティーでお願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
そう言って店員さんが立ち去ると、椎名さんはテーブルの脇に置いてあった灰皿を自分の目の前まで持ってきて、上着のポケットから煙草の箱を取り出した。
「吸ってもいいですか?」
煙草を一本取り出し、口に咥えたあとで椎名さんは言う。
その状態で駄目とも言えず、わたしは「あ、どうぞ」と答えた。
「どうも」
椎名さんはそう言うと、ライターで煙草に火をつけた。
秋風から冬の冷たさに空気が切り替わる11月の終わり頃。
わたしはいつものように仕事を終え、帰りには青葉交番へ立ち寄るつもりでいた。
しかし、会社を出たその時―――
「すいません、鳳月都子さんですよね?」
20代後半くらいのボブヘアの女性が、まるでわたしを待っていたかのように会社の入口横から出て来て、話し掛けてきたのだ。
「そうですけど···、どなたですか?」
わたしがそう尋ねると、その女性は上着の内ポケットから何かを取り出し、それを開いて見せた。
それは、警察手帳だった。
「捜査一課の椎名(しいな)と申します。少しお話よろしいですか?」
(警察の人が、わたしに話し?何だろう···)
わたしは不思議に思いながらも「はい」と返事した。
それからわたしは椎名と名乗る女性と一緒に会社近辺にあるカフェへと入った。
椎名さんは注文を取りに来た店員さんに「わたしはブラック、ホットで」と言ったあとに、わたしに「鳳月さんは?」と訊いた。
「あ、じゃあ、わたしはホットのミルクティーでお願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
そう言って店員さんが立ち去ると、椎名さんはテーブルの脇に置いてあった灰皿を自分の目の前まで持ってきて、上着のポケットから煙草の箱を取り出した。
「吸ってもいいですか?」
煙草を一本取り出し、口に咥えたあとで椎名さんは言う。
その状態で駄目とも言えず、わたしは「あ、どうぞ」と答えた。
「どうも」
椎名さんはそう言うと、ライターで煙草に火をつけた。