泡沫の月に幽玄の狼
***


「あっ!都子!こっちこっち!」

秋風で銀杏の葉が舞うお昼時のカフェ。
窓際のテーブル席でこちらに手を振る美貴の姿を見つけた。

「美貴、お待たせ!」
「全然待ってないよ!わたしも今来たところだから!」

わたしは美貴が座るテーブル席に駆け寄ると、美貴の向かい側のソファーに腰を掛ける。
そしてわたしたちは久しぶりの再会に手のひらを合わせ、喜びを分かち合った。

「久しぶりだね!」
「ねっ!都子は、相変わらず綺麗だなぁ〜!」
「そんな事ないよ」
「そんな事あるよ〜。もう、わたしなんて劣化が進んで進んで···」

テーブルに頬杖をつき、溜め息をつきながら美貴は言った。

「劣化って!」
「なかなか自分に使う時間ないから、もう放置気味よね」
「子どもがいれば仕方ないよ」

美貴は、3年前に同じ会社の上司と結婚し、今は1児の母だ。

本人は"劣化が進んでる"と言うが、わたしから見る美貴は何も変わらず、飾らない性格に母としての強さと柔らかさを兼ね備えた素敵な女性に見える。
わたしには無いものばかりを持っている美貴は、わたしにとっては理想だった。

それからわたしたちはアイスカフェラテとミルクティーを注文し、他愛もない話から始まり、先日の同窓会の話を始めた。

「あ、そういえば、同窓会どうだった?みんな元気にしてた?」

何気無くわたしがそう訊くと、一瞬美貴の表情が曇った。
そして、美貴は「あっ、うん、みんな元気だったよ!」と、ぎこちなく笑って見せた。

その美貴の表情に違和感を感じたわたしは、同窓会から帰宅して来た時の貴博の様子も気になっていた為、思い切って同窓会の詳細を訊いてみる事にした。

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