女除霊師の密かごと
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翌日の昼休み。
バディの件は断ったはずなのに、私はまたしても山本博士に視聴覚室に呼び出された。
まだお昼ごはん食べてないんだけど……と思いつつ、有名人の山本博士と教室内で長話でもしたら私まで目立ってしまうので渋々付いていった。
促されるまま視聴覚室の端っこの椅子に座った私は、山本博士の話が始まる前にと焼きそばパンの袋を開けて齧り付く。
すると、それを見ていた山本博士が険しい表情をして眼鏡を光らせた。
「真中さん、まさかとは思いますがlunchはそれだけですか?」
「ら……えっ、なんて?」
さすが帰国子女、発音がネイティブすぎて外国語を使われると一瞬聞き取れない。
「ランチです。いつもパンだけで済ませているのですか?」
「うん……まぁ……昼はパンと珈琲だけだけど」
「それはいけません!」
山本博士は頭を押さえて大きく仰け反る。
「真中さん、貴女は僕の作った栄養満点のお弁当を食べるべきです。炭水化物のみで済ませるのはよくありません」
この男、勉学に励む傍ら自分でお弁当まで作ってるのか。
本当に何でもできる男である。
女の子が家庭科の授業で作ったかのようなやけに可愛らしいお弁当袋からお弁当を取り出した山本博士は、「さあ、好きな具をお食べなさい」と常備しているらしい割り箸を差し出してくる。
私はおずおずと箸を割って卵焼きを摘み、口の中に入れてみる。
――その瞬間、私の口内に革命が起こった。
「う、うま……っ!」
私の好きな甘めの卵焼きだった。
私がうまいとつい褒めてしまったことに満足したのか、山本博士はうんうんと深く頷く。
「そうでしょうそうでしょう。よければ明日も作ってきますよ」
「いや、それはいい」
そんなに毎日あんたと関わる気ないし……という気持ちで断るが、山本博士は一切引かない。
「遠慮しないでください。僕は毎朝妹の分のお弁当も作っています。具材を少し多く作るくらいなんてことはありません」
妹と聞いて納得する。
なるほど、山本博士の鞄にやけに可愛らしいフェルトで作ったであろうマスコットキャラクターがぶら下がっているのも、ランチョンマットやお弁当袋がやけに可愛らしいのも、妹の影響なのだろう。
「妹もこの学校の生徒?」
「はい。中等部の二年生です。可愛いですよ」
妹のことを聞くと少し声のトーンが上がった気がする。
どうやら山本博士はシスコンらしい。