きみが光るたび、淡くなる
冬貴?いや、あの子は弱くない。みんなのお兄ちゃんだ。
絹?違う、いつも1人で解決しようとする癖がある。
逢?あの子は頼ってはくれるけど、守らなくても生きていける。
こた?守りたくはなるけど、誰よりも心は強い。

・・・月葵?
『手伝ってあげる』一緒に、私もやらせてくれる。
『胸きゅん台詞が分からない』弱みも、見せてくれる。
『雨瑠ちゃんわかる?』分からないところを隠さず、頼ってくれる。

・・・あれ?もしかして・・・
「・・・っ、違う!」
「うぇっ⁉・・・え、どうしたの雨瑠ちゃん。顔赤いよ?」
「っあ・・・ごめ、・・・」
気が付くと、自分の思考を払拭するように叫んでいて、月葵が心配そうにこっちを見ている。
「熱ある?」
前髪を手で書き上げた月葵の顔が近づいてきて、額同士がぶつかって・・・。
「・・・っ」
「熱はないね。大丈夫?嫌なことでも思い出した?」
月葵は本気でそう心配してくれているはずなのに、全部見透かされているように感じてしまった。
「・・・だ、大丈夫。ごめ、も、戻るわ・・・」
口が乾いて、拙い言葉でそう伝えた後、すぐに立ち上がる。
「・・・そう?無理しちゃだめだよ?」
「わ、わかってる・・・頑張って」
せめて最後くらいは『いつも通り』を装おうとしたもののもちろん上手くいかず、嚙みながら部屋を出た。
駄目だ・・・駄目なのに。
気付かなければよかった。気づいたら駄目だった。仕舞っておくべきだった。
なにひとつ分からない『その感情』を、なんの感情なのか分からないまま、知らないふりをするべきなのに。
「なんでだよ・・・」
私はプロデューサーだ。
5人を、大人気アイドルにするためにいる。代わりはいくらでもいる存在だ。
心を消さなければ。すべて忘れて、適切な距離で接しなければいけない。
「・・・よし」
もうおわりにしよう。
不相応な感情を抱くことなく、アイドルとプロデューサー、業務的な関係に戻ろう。
そう決意し、私は『なめこの味噌汁room』に向かった。

「いい感じ。・・・はやく、俺のところまで堕ちておいで」
1人残った月葵が、部屋でそう呟いていたことなんて、知る由もなく。
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