きみが光るたび、淡くなる
「どう?まとまった?」
「あ、今ちょうど話してたんだ」
「そうか。入っていい?」
「もちろん、一緒に話そ」
大丈夫、やれてる。
私は『いつも通り』だ。
「サビはやっぱダンス入れたいよねーって話してたんだ」
逢がそう言いながら、歌詞カードのサビの部分を指差す。
「そうだな。どんな振付になるかはこた次第だが」
「うん。Aメロは1人1人にスポットライトを当てたくて。なんかさ、英語の筆記体?で名前とか入れたいなって」
筆記体の名前、スポットライトか・・・。
「わかった、いいと思う。2人の案はとりあえず採用しよう」
ありきたりなMVになる可能性もあるが、王道でも『LUXEON』のパフォーマンスをすればいいだけの話。
「たとえばさ、俺が映るとするじゃん。で、カメラが引いた時に移った小物とかに名前が書いてあっても面白いんじゃない?途中でピントをそっちに合わせてさ」
「たしかに。『えのぐ』だから、MVは美術室とかでもいいんじゃね?まぁ、衣装によるけど」
「芸術家みたいな衣装でもいいな。キャンバスに絵を描くシーンとかも入れてみるか」
最初は王道のキラキラMVにしようと思っていたが、たしかに美術室をセットとして使ってもいいな。
だとしたら、実家にある美術品とかも使えるんじゃないか。
「先に月葵にイメージを送っておくか」
「ありがと、そうしよう」
MV担当と衣装担当の考えにずれがあると中途半端な作品になってしまう。
『MVでは美術をテーマにすることになった。それに合わせて考えてほしい』
もしかしたら振付にも関係してくるかもしれないので、月葵とこたにそうメッセージを送っておく。
すぐに既読がつき、私はまた話し合いに戻った。

「小物はなにが欲しい?美術関係ではないが、積み木とかがあっても可愛いんじゃないか」
「じゃあ積み木に名前書いてみる?絵具で汚れたエプロンとかも欲しいけど・・・これはつっちゃんの仕事か」
「キャンバス、彫刻、石膏像、パレットと筆、毛糸とかハサミとか折り紙とかもいいんじゃない?」
「工作系もいいな。教室っぽく・・・美術部っていうことにするか?」
1つのイメージ『美術』が決まると、おもったよりもスムーズに話が進む。
使うものも今のところ、すべて実家にあるものばかりだ。
しかもMVは事務所がつくる、という定であるため、セットに心配はない。

「・・・うん、こんな感じでどうだ?」
「うわ、いいと思う!・・・うん、うん・・・こことか最高じゃん」
「俺もそこ好きだわ。・・・でもセットは?教室とかってどーやって準備すんの?」
どうやら逢は、さっきの話を忘れているらしい。
「逢。LUXEONはもうインディーズじゃないんだぞ」
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