きみが光るたび、淡くなる
夜、一度全員で『なめこの味噌汁room』に集まり、自分の役割の進捗を報告する。
「ある程度のデザインは固まったかな。白のシャツに、濃いベージュ・・・茶色寄りのエプロン。実際に絵の具で汚したいなって。メンカラのベレー帽とかどう?」
「ちょうと言おうと思っていた」
「そう?あとズボンだけど・・・ジーパンと統一で、全員デザインを変えようかなって。ダメージ、ブーツカット、フレア、マム、ニーレングス・・・いっぱいあるからね」
衣装担当の月葵は順調そうだ。

「歌の割り振りは完成した。あとで確認してほしい」
「ねぇ、MVのダンスってサビだけ?」
「うん、その予定」
「よかった。サビだけはダンス完成したんだ。じゃああとはテレビ用だね。歌の割り振りが決定したら作れるから・・・明日には完成するよ!」
「はやくないか?」
絹の仕事はほぼ終わりで、こたはプロの振付師さながらの手腕を見せてくれた。
じゃあ、絹もMV側に引き込めるな・・・それに、編曲だってある。

「MVはどう?」
絹に振られ、冬貴が待っていましたと言わんばかりに、満面の笑みで口を開いた。
「テーマは美術部!美術室のセットで撮影しようと思ってて。サビはダンスで、Aメロとかでは実際にキャンバスに絵も描こうかなって」
「えー楽しそう!」
「描いた絵をバン!って見せるシーンも作りたい。そのシーンで名前も出そうと思ってる」
とりあえず出てきた案をそのまま口に出していくと、想像したらしいメンバーの顔に笑みが浮かんでいく。
「楽しそうすぎる・・・!」
「芸術家スタイルで美術室!絶対楽しいよね・・・!顔に絵の具とかもつけるの?」
「あぁ、それもいいな」
「やってみたい!」
やっぱり全員で話し合ったほうが、たくさん案が出るな・・・。

「ねぇねぇ、つっさん。スカーフとかもつけたいなぁ・・・」
「たしかに。ベタな芸術家スタイルの中に、アイドルらしいアクセサリーを入れてもいいかもしれない」
「だよね!それもメンカラにしてさ、それぞれ違う結び方とか場所とか・・・。首じゃなくて、腰とか手首とか」
どうやら、こたは発想の天才らしい。
「じゃあそれも追加で考えるね」
月葵も楽しそうな顔でメモを取っていた。

「あ、1週間後。みんな空いてるよな?」
「1週間後?空いてるけど・・・たしかレッスン入ってなかったよね」
そりゃそうだ。
レッスンよりも重要なことがあるんだから。
「その日、事務所に挨拶に行く」
「・・・えっ?」
「その日に面接して、契約書にサインしたら、正式に事務所入り。そしたらレコーディングが始まる。レコーディングは10日後・・・つまり挨拶の3日後な」
今はまだ私が事務所にLUXEONを売り込みに行って、事務所入りの・・・いわば『内定』をもらってる状態だから、本人の契約書サインがないと正式には所属できない。
「楽しみ過ぎる・・・!」
テンションが上がってきた月葵がそう言うと、メンバーも顔を見合わせて笑い合う。
「なんか・・・こんなに上手くいっていいのかって思っちゃうけど。でもこのチャンスは絶対に逃さない」
「そうだね。この6人で絶対夢を叶えよう!」
自然と全員が手の甲を真ん中に出して、6つの手が重なる。
「頑張るぞぉ~」
「「「「「「お~!」」」」」」
みんなで一緒に腕を上げ、『なめこの味噌汁room』はしばらく笑いに満ちていた。
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