きみが光るたび、淡くなる

大人気アイドル

「3カ月前にリリースした『Foolish』は5500万回再生。FC(ファンクラブ)会員数は3万人を超えたね」
輝かしく思われたメジャーデビューから3年。
LUXEONは『LUMINA CHORD』含め9曲をリリースした。
どの曲も一定数の再生回数は超えているが、ヒットと呼ばれるような曲は未だない。
気が付けばLUXEONは結成10年、デビュー3年目になっていた。
FC(ファンクラブ)Lumen(ルーメン)』の会員数も増えているんだがな・・・。
ライブも数回しているが、披露する大半の曲がカバー曲。
つまりは歌唱力を披露するだけの場、ということだ。
もちろん、ドーム公演だって未経験。
「どうする?」
マネージャーである光に訊かれ、少し悩む。
どうか当たってくれ、と闇雲に曲をバンバン出すのは好きではないし、そんな体力もない。
ただ・・・
「新曲、出そうか」
「わかった。集めるね」
1度もヒットしていないのに、そんなことは言ってられないだろう。

光に集められたメンバーは、次は何をするのかと期待のこもった視線を送ってくる。
「新曲出すよ」
「ほんと⁉やったぁ!」
「楽しみだな。どんな曲?」
3年、テレビ出演は月に数回、CM出演は2本、ドラマには絹と逢のみの出演、リリースだって多くはない。
そんな生活を送っているというのに、曲を出すたび、メンバーの瞳はキラキラと輝くのだ。
「『バズる』に挑戦してみようと思う。MVのダンスを簡略化したダンスを、1.5倍速くらいにした曲のサビに合わせて踊って、投稿する」
「なるほど、若者に狙いを定めるんだね」
ずっとパフォーマンスで勝負をしてきたが、そんな甘えたことは言ってられない状況なのだ。
この状況でも事務所の社長は優しかったが。
「『ひとりごと』という曲にしようと思っている。なんていうか、『be quiet』の絵文字をイメージしている」
1.5倍速にしても聴こえやすく、可愛らしく高い音を土台にして曲を作ってみた。
「どうなるかは、やっぱりわからない。でもやってみるしかないさ」
「そうだね!」
10曲目の新曲。
10度目の正直という言葉が通用するかは分からないが・・・。
「今回は月葵メインで組んでいく」
「了解」
曲・・・とくにアイドル曲には、メインとなるメンバーがだいたいいる。
センターみたいなものだ。
まぁ、振り付けは入れ替わり立ちだから、セリフや、落ちサビの大部分が回ってきたりする立場。
「これで全員2回メインになったな」
「うん」
ファンにバランスが出来ないよう、メインになる回数には気を配って決めている。
一番最近の曲、こたがメインの『Foolish』は、LUXEONで一番の再生回数5500万回再生。
それを超えることが、まず目標だ。
『ただの好き』『愛 加速中』『someday』『もう恋でいい』『あいたい』『universe』『約束』『Foolish』。
どれもメンバーの個性、いいところが詰まった、大切で思い入れのある曲だ。
1曲ヒットすれば、他の曲を聴いてもらえるチャンスが大きくなる。

「ヒット・・・するかな」
少しだけ不安そうな絹の呟き。
3年経ってもヒットさせてあげられないことに、柄にもなく少し胸が苦しんだ。
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