きみが光るたび、淡くなる
「・・・『ドルチ』?」
「そう。入って」
着いたのは、隠れ家のような小さな店。
中に入ると
「いらっしゃい。運いいね、今日客いない・・・あぁ、雨瑠じゃん」
出てきたのは、ピアスを沢山開けた銀髪の、危ない雰囲気を纏う男だ。
その男は私の後ろを見ると、首をかしげ、
「・・・あれ?LUXEON?」
そう指摘されて、メンバーはぎくりとして助けを求めるように私を見てくる。
大丈夫だって言ってるのに・・・。
「そう。LUXEONだよ。席は?案内して」
「雑だなぁ相変わらず!」
私は肯定したことに驚いているメンバーを連れて、奥の席に座ると、月葵が小声で訊いてきた。
「知り合い・・・?」
「・・・あぁ、そうだよ」
たしかにプロデューサーが銀髪のピアス男と話してたら、少し怖いか。
「仲良さそうだね」
「・・・あー、まぁ」
あまりそこには突っ込んでほしくないんだけどな。
「ん-?だってだって、俺ら・・・」
(りつ)
いらないことを言いそうだったので、名前を呼んで遮る。
「えー?でも、俺らの関係知りたそうだよ。ね?」
訊くな律、頷くなお前ら・・・!
「教えて下さい。律、さん?」
「きゃーこの子素直~。いいよ、お兄さんが教えたげる」
やめろやめろ、こたまで・・・!
「俺らね、」
「律」
「えーっと大学生の頃?あ、同い年なんだけど」
「まじで律、ほんとにやめ・・・」
「1年の頃から3年の頃までかな!」
まさかそこまで言って教えないのか。
一番気まずいやつじゃないか・・・。
「その3年でなにがあったんですか?」
絹、お前察してるよな?
わざと訊いてるよな、それ?
・・・駄目だ、口が悪くなってしまう。
「まぁ、付き合ってたんよ☆」
「・・・は?」
「っはー、まじで律・・・」
言ってしまった。
アイドルにプロデューサーの恋愛事情知られるとか、恥ずかしすぎるだろ・・・。
まぁ、開き直って言えば、私と律は元恋人だ。
「俺が告って無理言って付き合ってもらってー、振られた☆」
そもそも付き合ってたって言っても・・・お互い異性避けだって利害の一致だったしな。
「どこまでいったの?」
「きいちゃう⁉きいちゃうそれ!いいよ!」
「律さすがにそろそろ殺すよ?」
逢、悪戯っ子みたいな顔でそんなこと訊くんじゃない。
「キスも許してくれなかったよねぇ」
「恋愛感情お互い無かったからな」
私だけでなく、別に律も本気で私のことを好いていたわけではない。
「振った理由が『兄に見つかったから』だっけ?」
「そう」
異性避けにはちょうどいい存在ではあったものの、シスコン兄に見つかって、私が振ったのだ。
だから今も気まずさはなく、兄よりも家族のような関係を築けている。
「そーなんだ・・・雨瑠ちゃんらしいというか」
「ねー!しかも俺、初彼氏でしょ?」
「兄が取り締まってたから。ってか律のコト彼氏にカウントされるわけ?」
「少なくとも俺は雨瑠のこと好きだよ♡」
だからそれは恋愛感情じゃないって、私も律も分かっている。
「うーちゃんは律さんみたいな人がタイプ?」
「真逆だよ。弱い人が好きだから」
・・・というか。
「なんでこんな話をしてるんだ?律、料理」
「はいはい、お嬢様ぁ」
ライブ前日にご飯を食べに来ただけなのに、なんで私の恋愛話になっているんだ。
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