きみが光るたび、淡くなる
「じゃーん、デザートだよん」
「なにそれ、初めて見るんだけど」
食後、皿を片付けた律が持ってきたのは、2つのデザート。
「こっちが白桃のコンポート。こっちはローズマリー香るレモンケーキでぇす」
「ちょっとおしゃれな名前つけるのやめてくれるか」
「AIと考えたんだ☆」
だろうな、律はそんなネーミングセンスもっていない。
なんでも『○○と○○の○○ ~○○を添えて~ 』というテンプレートしか知らないんだから。
「えぇ、美味しそう、やっぱデザートは別腹だな」
ライブ前なのを気遣ってか、律が出した料理は軽めのものだったが、それでもかなり満腹になりつつある。
それでもこのデザートが美味しそうに見えるんだから、律はやっぱり一流の料理人ということだろう。

「美味しかったぁ」
「そうだな。・・・律、いくら?」
「え、うーちゃん、俺ら払うよ」
「いいから。・・・で、いくら?」
全員食べ終わり、幸せそうに入口に向かう。
「え~?雨瑠が来てくれたのは数年ぶりだし、嬉しいから金いらんよ。その代わりまた来てな」
「あ~・・・難しいなそれは。キッチン貸すから東京まで来て」
「相変わらずだなぁ!まぁ行くけど。とにかくお代はいらないから!ほら帰った帰った」
そんな、律の粋な気遣いに追い出され、私たちはまた車に乗ってホテルに向かった。
「律さん面白いねぇ」
「ね、なんか・・・人を見た目で判断しちゃいけないっていうか」
いや、街中であんなに派手な髪をしたピアスジャラジャラ男がいたら、是非とも逃げてほしいが。
「美味しかったか?」
「うん、もちろん!東京にもお店がったらなぁ」
「大阪の人間だからな。大学で東京に来ていただけだし」
・・・まぁつまり、律はあの調子だが、金持ちの子息だし頭もいいのだ。
それがまた気に食わないところでもあるけどな・・・。
「でも東京来てくれるんでしょ?楽しみだなぁ」
こたは特に律の料理を気に入ったようだ。
店をやりたいっていうのは律の夢だったから、店から引きはがすことはできないが。
「そうだな、最終公演の後の打ち上げで来てもらおうか」
「えっ、いいね!うわ、めっちゃ楽しみなんだけど。頑張る理由が増えた」
それはよかった。
まぁ、そんなご褒美がなくても、5大ドームツアーができるだけで本人たちは満足だろう。
「一生に一度のチャンスかもしれないんだもん、絶対楽しんでやる」
さっきまでの緊張はどこへやら、こたはもう楽しむ気満々だ。
「そうだな、自分が楽しくないライブはお客さんにとっても楽しいわけがないかな」
まずは自分が楽しまなければいけないな、と言うとこたは笑顔でうなずく。
その笑顔に、メンバーも微笑ましそうに顔を見合わせた。
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