きみが光るたび、淡くなる
「あと2時間・・・」
東京。LUXEON初の5大ドームツアー最終公演。
「ちょっと待って、『ひとりごと』練習したい」
「あ、俺も。緊張で振りド忘れしてるかも」
というメンバーの一言で、一度だけ『ひとりごと』を通すことにした。
「『こっち見てよ その瞳の中に 僕だけを映して』」
電源の入っていないマイクを握り、メンバーが限られたスペースで動き回る。
5年半前に通りすがった舞台に比べたら大成長だな、と感じていると

「『君に届け この想い 【大好きです】 言いたいよ』」

一瞬バラード調になる月葵のパート。
その瞳がまっすぐに見ているのは、私の目。
じっと目が合い続け、最後にニコリと微笑まれた。
思わず呆然と月葵を見ていると、それを見ていた光が肘でつついてくる。
「ぼーっとしちゃって」
「・・・っ、悪い」
隠せばいいって、昨日考えたばっかりだろう・・・。
「・・・ふぅ」
慌てているうちに曲が終わり、絹が息を吐いたことでスタッフさんたちが動き出した。
「メイク直ししまーす」
「もうすぐ衣装お願いしまーす」
「最終チェックなんですけどー」
一生に一度かもしれない、選ばれしもののみが立てる大舞台。
その大きな物語の最終章をハッピーエンドで締めるため、たくさんの人が動いている。
そして、そのことに対する理解と感謝を忘れないLUXEONの5人。
・・・私が割り込む隙は、もうない。

「よし、行ってこい」
「行ってきます!」
Lumenの歓声がドーム全体に響き渡る中、メンバーの背中を(物理的に)押す。
キラキラな笑顔でステージに出て行った5人は、やっぱり幸せな光で輝いていた。
「こんばんはー!僕たちは、」
「「「「「LUXEONです!」」」」」

♡─────────────────────────────♡

「お疲れ様、5大ドームツアー完走おめでとう。よく頑張ったな」
ライブ終了後、熱の残るメンバーと光を乗せて、車で‟とある場所”に向かう。
「うーちゃん、本当にありがとう!」
「全部5人の力だ、と言いたいが・・・どういたしまして」
冬貴の顔がバックミラーに映り、その素直な笑顔にそう返した。
「ねぇねぇ、どこ向かってるの?」
「ん-?律のところだ。・・・っていうか大丈夫か?疲れてるだろうし、明日にでもできるぞ?」
3日連続のライブの後にご飯食べに行くとか、よく考えたら頭おかしいよな・・・。
「ううん!せっかくのご褒美だし・・・!」
「逆にアドレナリン大放出だよ」
あぁ、そうか・・・それなら大丈夫か。
「じゃあ向かうぞ」
「やっほーい!」
こたがこんなにも喜んでいるので、こたを特別に気に入っている律も喜ぶだろう。
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