きみが光るたび、淡くなる
LUXEON解散から2年後。

『LUXEON、氷室月葵 結婚を発表』
『お相手は長い間支えてきた‟元スタッフ”!』

「はぁ・・・」
新聞の一面を飾った、大きな見出し。
そこに書いてあるのは無視できる内容ではなく、新聞を摘み見上げて思わず呆れてしまう。
まったく、光もニコニコ笑顔で新聞(こんなもの)渡してくるんじゃない・・・。

昨日、月葵がSNSで、結婚を発表した。
それは『元スタッフの、お世話になった女性と結婚したこと』『解散後、交際を始めたこと(嘘)』『第一子が誕生したこと』を伝えるもので。
まぁ、活動中にスタッフと交際していたことがバレたら、炎上するかもしれないからな。
解散から2年で発表というのが、妥当なところだろう。
にしても、国民的アイドルの結婚か・・・。
そりゃ、新聞の一面を大きく飾る価値はあるだろうな。
でも、これが自分事でもあるのは複雑っていうか・・・。

「雨瑠ちゃん、ただいま」
「あぁ、おかえり。みんなも一緒か」
新聞をどうするか、飾るのは癪だな・・・と考えていると、メンバーを引き連れた月葵が『なめこの味噌汁room』に帰ってきた。
相変わらず仕事は忙しく、たまにメンバーと現場が重なることもあるらしい。
地味に気まずいんだとか。

手を洗ってきたメンバーが、リビングにぞろぞろと戻ってくる。
「あ、璃翠起きてる?」
「あぁ、一応な」
「抱かせて!」
冬貴がこちらに手を伸ばし、私は抱いている温かいものを冬貴に渡した。
氷室(ひむろ)璃翠(りすい)
私と月葵の第一子で、LUXEON全員が溺愛する男の子だ。
あまり泣かなくて大人しい子だが、大人気アイドルに囲まれるという異様な幼少期を過ごすことになるため、ちょっと不安ではある。
いや、LUXEONはいい影響にはなると思うが・・・友達を家に連れてくるとかはできなくなるからな・・・。

「翠ぃ、今日も小っちゃくて可愛いねぇ」
中でも璃翠を溺愛してるのが、冬貴。
LUXEONは月葵以外結婚も交際もしていないが、子供は大好きで、暇さえあれば璃翠を構っている。
まぁ、世話をしてくれているわけだから、こちらとしても助かっているんだが・・・。

「翠は大きくなったらなにになるんだろうね」
一方、『壊しそうで怖い』と翠を抱きたがらない絹は、私と同じことを考えていた。
絹なりに翠のことを考えていて、こっそりお世話をしていたりするから、ただ優しいだけなんだろう。
「アイドルになるのかなぁ。環境が環境だよね」
そうだな、アイドル育成でもするのかというくらいには、環境が整い過ぎている。
それでこの子の未来が勝手に決められるなら、LUXEONはここから追い出すが。
「翠の好きなようにさせればいいよ。俺らは応援して、サポートするだけ。そりゃあアイドルになりたいなら、もう大人気アイドルにしてあげるけどね」
「大人気アイドルと、その凄腕プロデューサーがついてるからなぁ」
たしかに、璃翠はアイドルになりたいと言ったら、出来ることはたくさんある。
璃翠の為なら、LUXEONも全力で尽くしてくれるだろう。
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