きみが光るたび、淡くなる
《Side 絹》
1人の歌い手『冷泉絹亜』。
新たな肩書を手に入れて、大好きなメンバーと一緒に過ごして、可愛い甥っ子のような存在もできて。
誰よりも贅沢で幸せな時間を過ごせているはずなのに。
それでも、たまに虚しくなってしまう。
うるやんと月葵が付き合っている。
なんとなくそうなることは察していた。
それでも、それが現実になるとやっぱり受け止めたくなくて。
笑えていなかったと思う。笑顔で祝福できなかった。一生の後悔だ。
あの時、もっと笑顔を貼り付けて『おめでとう』と言えたら。
今はキッパリ諦めきれたのかもしれない。
うるやんに恋をしてると気づいたのは、きっと、ずっと前。
初めてのボイトレの後、俺の意思を尊重してくれた時だろう。
歌を褒めてくれた上で、『バランスのいいアイドルになりたい』と我儘を言った俺を肯定してくれた。
その時に、必然的に惹かれてしまったのだ。
だから、月葵がうるやんと結ばれた時は、ショックだった、と思う。
俺にとって月葵は大切な存在だし、そんな月葵が幸せになれたんだから、嬉しくもある。
でもやっぱり、うるやんの隣に立つのは俺であってほしいと、心のどこかで願ってしまっていた。
付き合ってると知った時だって、笑って祝福出来ていたら、もっと諦めがついたはず。
中途半端に笑えなかったせいで、まだ心残りになってしまっている。
それでも解散後、うるやんと月葵の間には子供が出来て、文句のつけようがないほど月葵はいい旦那で。
そのおかげで、俺はもう諦めきれた。
『結婚願望があるのか』と訊かれた時に『恋愛をする気もない。もう諦めた』と答えたのは、俺が選ばれる未来がないことも、分かっていたからだろう。
選ばれることを願っていたのに、選ばれないことも分かっていた。
板挟みのその感情に、俺は引きずり込まれていた。
2人の子供の璃翠は、美男美女の息子らしく整った顔をしていて、うるやんと月葵を足して2で割ったような、完璧なDNAを引き継いでいた。
その璃翠を抱くと感情が溢れてしまいそうで、『壊しそうで怖い』と抱くことを避けてきた。
俺のこの感情に、月葵は気づいているだろう。
それでもなにも言ってこないんだから、きっとそれは月葵なりの気遣い。
それがまた嬉しくもあり、情けなくも、虚しくもあるのだ。
いつか。
うるやんを『お世話になったプロデューサー』『大好きな仲間の配偶者』として見れるように。
璃翠をしっかりと抱いて、『2人の子供に生まれてこれて幸せだな』と言えるように。
うるやんと月葵が仲良くしてるのを、他のメンバーと一緒に微笑ましく見守れるように。
璃翠を見守り保護する、璃翠にとって『憧れの人』になれるように。
そんな日がいつか来ることを、俺は願い続けている。
それは、うるやんを好きになってしまった俺の、幸せな償いだ。
《Side 絹 END》
1人の歌い手『冷泉絹亜』。
新たな肩書を手に入れて、大好きなメンバーと一緒に過ごして、可愛い甥っ子のような存在もできて。
誰よりも贅沢で幸せな時間を過ごせているはずなのに。
それでも、たまに虚しくなってしまう。
うるやんと月葵が付き合っている。
なんとなくそうなることは察していた。
それでも、それが現実になるとやっぱり受け止めたくなくて。
笑えていなかったと思う。笑顔で祝福できなかった。一生の後悔だ。
あの時、もっと笑顔を貼り付けて『おめでとう』と言えたら。
今はキッパリ諦めきれたのかもしれない。
うるやんに恋をしてると気づいたのは、きっと、ずっと前。
初めてのボイトレの後、俺の意思を尊重してくれた時だろう。
歌を褒めてくれた上で、『バランスのいいアイドルになりたい』と我儘を言った俺を肯定してくれた。
その時に、必然的に惹かれてしまったのだ。
だから、月葵がうるやんと結ばれた時は、ショックだった、と思う。
俺にとって月葵は大切な存在だし、そんな月葵が幸せになれたんだから、嬉しくもある。
でもやっぱり、うるやんの隣に立つのは俺であってほしいと、心のどこかで願ってしまっていた。
付き合ってると知った時だって、笑って祝福出来ていたら、もっと諦めがついたはず。
中途半端に笑えなかったせいで、まだ心残りになってしまっている。
それでも解散後、うるやんと月葵の間には子供が出来て、文句のつけようがないほど月葵はいい旦那で。
そのおかげで、俺はもう諦めきれた。
『結婚願望があるのか』と訊かれた時に『恋愛をする気もない。もう諦めた』と答えたのは、俺が選ばれる未来がないことも、分かっていたからだろう。
選ばれることを願っていたのに、選ばれないことも分かっていた。
板挟みのその感情に、俺は引きずり込まれていた。
2人の子供の璃翠は、美男美女の息子らしく整った顔をしていて、うるやんと月葵を足して2で割ったような、完璧なDNAを引き継いでいた。
その璃翠を抱くと感情が溢れてしまいそうで、『壊しそうで怖い』と抱くことを避けてきた。
俺のこの感情に、月葵は気づいているだろう。
それでもなにも言ってこないんだから、きっとそれは月葵なりの気遣い。
それがまた嬉しくもあり、情けなくも、虚しくもあるのだ。
いつか。
うるやんを『お世話になったプロデューサー』『大好きな仲間の配偶者』として見れるように。
璃翠をしっかりと抱いて、『2人の子供に生まれてこれて幸せだな』と言えるように。
うるやんと月葵が仲良くしてるのを、他のメンバーと一緒に微笑ましく見守れるように。
璃翠を見守り保護する、璃翠にとって『憧れの人』になれるように。
そんな日がいつか来ることを、俺は願い続けている。
それは、うるやんを好きになってしまった俺の、幸せな償いだ。
《Side 絹 END》