きみが光るたび、淡くなる
「なんかね、たしかにキャラは変わったよねぇ。柔らかくなったっていうか、最初はもう他人!無関心!って感じだったけど、今はもう・・・なんていうんだろう、甘い?」
あ、甘い・・・?私が・・・?
・・・いや、でも心当たりはあるような。
「きっと一回関わりを持ったら放っておけないんだろうねぇ。身内に甘いタイプだよ」
『雨瑠は腹の中に入れた奴にはとことん甘い。お兄ちゃんは心配だ。この世で信用していいのはお兄ちゃんだけなんだぞ?』
ニコニコと笑顔で頬杖をつくこたのセリフに続き、腐れシスコンの声が脳内再生される。

佐伯(さえき)陽聖(ひなせ)。私の兄で、財閥の跡取り。
超弩級なシスコンの癖に、女嫌いという玉に瑕・・・どころではなく、瑕しかない玉の持ち主である。
私に対して自分のことを『お兄ちゃん』と呼び、洗脳まがいなことをしてくる時点で察せるとは思うが・・・。
この兄は、私のことをいつまでも幼い妹だと思っているようだ。

・・・話が逸れた。
父には『このこと』は兄には言わないでくれと言っておいたが、バレるのは時間の問題だ。
それまでにデビューさせるのが一番だろうな・・・。
「・・・やん?うーやん?ぼーっとしてどーしたの?」
不思議そうなこたの声にハッと我に返る。
横を見ると、困ったような笑みを浮かべて、私から包丁を取り上げる月葵がいた。
「そーゆー可愛いところ見れるのはいいんだけどね、料理中は危ないからやめてほしいかなぁ」
「あ・・・ごめん」
「ううん、こっちこそごめんね。大学行って引っ越してきたばっかだから雨瑠ちゃんが一番疲れてるよね。全部俺がやろうか?」
「いや・・・やらせて。出来るようになりたい」
申し訳なさそうな月葵に首を横に振り、もう一度包丁をもらう。
「ふふ、わかったよ」
何故か幼い子供・・・それこそ妹見るような温かい瞳で、見つめられ微笑まれ、不意にどきりとする。
・・・さすがアイドルを目指してるだけあって破壊力がすごいな・・・。
「みんなトランプとかやっといていいよー」
暇そうなメンバーを見かね、月葵がキッチンからメンバーに声を掛ける。
「UNOやりたーい」
「あ、俺の部屋にあるから取ってくるわ」
こたの意見にすぐ動く長男冬貴。
「UNO久しぶりな気ぃする」
「俺UNO弱いのになぁ」
ソファーでスマホを触る逢と、あぐらをかく絹。
絹はそんなことを言いながらも顔は楽しそうだ。
「ほいっやろ!4人?」
「うん!ご飯食べたら全員でやろーね!」
キラキラ笑顔でキッチンに向かって言うこた。
「うん、そうしようね」
お兄ちゃんな月葵が優しく笑い、私も頷いた。
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