初恋が君に届くまで
心の声
それから毎日つむぎは丈と打ち合わせを重ね、システムの設計について綿密に決めていく。

ある時、デスクでパソコンに向かっていた丈がつむぎを呼んだ。

「渡辺さん」
「はい、どうかしましたか?」
「ちょっとこれを見てほしい」

つむぎは立ち上がると、隣のブロックの丈のデスクに行く。

パソコンの液晶画面には、とあるお店のホームページが開いてあった。

「オーセンティックバー【ルーチェ】ですか? これがなにか?」
「調べてみたところ、夜の11時頃になると検索エンジンで【ルーチェ、フィラート】というキーワードが打ち込まれることが多いんだ。このルーチェというバーも、フィラートが経営しているのか?」
「いいえ、聞いたことがないです。そもそもうちは、他の事業はやっていませんし」
「そうか、じゃあなんだろう……。気になるな」

丈は腕を組んでじっと画面を見つめてから、ふいにつむぎを振り返った。

「今夜空いてるか?」
「えっ、はい?」
「なにか予定でも?」
「いえ、ありませんが……」
「よし。じゃあ行ってみよう」

ノリで「おおー!」と言いそうになって口ごもる。

(行ってみる? って、どういうこと?)

半信半疑で仕事に戻り、定時になると丈はカバンを持ってつむぎのデスクにやって来た。

「行くぞ」

どうにも体育祭を思い出し、「おおー!」と言いそうになる。

つむぎは急いで帰り支度をすると、周りに挨拶してから丈の背中を追った。
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