初恋が君に届くまで
翌日の昼休み、つむぎと友美は丈を連れて、歩いて5分のイタリアンレストランに向かった。

初夏の爽やかな風が吹き抜けるテラスで、大きなパラソルの下の席に案内される。

メニューを見ながら、パスタやサラダ、ピザを何品か注文してシェアすることにした。

オーダーを済ませると、友美がかしこまって丈に挨拶する。

「綾瀬さん、改めましてつむぎの同期の山崎(やまざき)です」
「山崎さんですね。綾瀬です。どうぞよろしく」
「こちらこそ」

ドリンクを飲みながら、丈は緑が豊かな景色に目を細めた。

「いい所だな。都心のオフィス街とは思えない」
「綾瀬さんのネクサスは、高層ビルなんですよね?」
「そう。周りもビルだらけで、こんなふうにのんびりとした時間は味わえない。昼食もデスクで食べることが多いし」
「そうなんですね。そういう点ではフィラートに来ていいことありましたか?」
「ああ、来てよかった」

丈が笑いかけると、友美は頬を赤らめておずおずと尋ねた。

「あの、綾瀬さんは今、恋人はいらっしゃるんですか?」
「いないよ」
「そうなんですね! すごくモテるのにどうして?」
「好きな人がいるから」

サラリと答えた丈に、つむぎも友美も思わず手を止める。

(えっ、それって綾瀬くんの片思いってこと?)

そう思っていると、友美も丈に確かめた。

「その好きな人には告白しないんですか?」
「まだ勇気が出なくてね。断られたらどうしようって」

ええ!?と友美は驚く。

「綾瀬さんの告白を断る人なんているんですか?」
「いるでしょ、普通に。そんな山崎さんは?」
「私は半年前に彼と別れて、今はフリーです。つむぎと一緒に彼氏募集中ですよ」

つむぎは「ちょっと友ちゃん」と手で遮る。

「私は別に募集してないよ」
「どうして? そうやってつむぎ、いつも消極的なんだもん。綾瀬さん、いいお友達がいたら紹介してくださいね」

丈が「ああ、わかった」と頷いた時、「お待たせしました」と料理が運ばれてきた。

「美味しそう! 綾瀬さん、どんどん食べてくださいね」
「ありがとう」

3人で美味しい料理を食べながら、おしゃべりを楽しんだ。
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