初恋が君に届くまで
「うん、どれもホントにうまいな」
「でしょう? 一人だとあんまりたくさん注文できないけど、綾瀬くんと来れば色々分けて食べられるからいいね」
運ばれてきた品々に箸を伸ばすと、美味しさにすっかり緊張も解ける。
「私も真似して作ってみたの。でもなかなかこの味まではたどり着けなくて」
「へえ、つむぎの手料理も食べてみたい」
「お腹壊しても知らないよ?」
「まさか。だけど嬉しくて胸がいっぱいになるだろうな」
「綾瀬くんって……なんだか感激屋さんだね。映画とかドラマ観て泣いちゃうタイプ?」
「男がそんな簡単に泣くか。けど、つむぎ絡みだと泣く」
「私絡み? それってどういうの?」
そうだな、と丈は少し視線を上げて考え込んだ。
「高校の応援合戦で、一生懸命練習してたつむぎが本番上手くできた時。嬉しくて胸が詰まった」
え……とつむぎは言葉を失くす。
まさか本当にそんな頃から自分のことを見てくれていたとは。
「あとはずっと心の中に想い続けていた初恋の女の子に、大人になってから偶然再会できた時も。幻かと思うほど信じられなくて、それからじわじわと喜びが込み上げてきた。神様がくれた奇跡に感謝したよ。つむぎと一緒に仕事をしながら、ようやく会話ができたことが嬉しくて。二人でドライブして美術館に行った時も、真剣にアートを見つめるつむぎの横顔に惚れ惚れしたし、ジェラートを美味しそうに食べる笑顔にドキッとした。海沿いの公園で、応援団の演舞を踊って可愛く跳ねたつむぎが、どうしようもなく愛おしくなった。今も……こうやって俺と一緒にいてくれるつむぎが心から好きで好きでたまらない」
「綾瀬くん……」
じわりと目に涙を浮かべると、丈が明るく笑った。
「つむぎの方こそ感激屋だな。あ、泣き虫か」
「違うもん」
「ははっ、可愛いからいいけど、俺以外の誰にもそんな顔見せるなよ?」
首を傾げて顔を覗き込まれ、つむぎは恥ずかしさにふいとそっぽを向く。
「つむぎ……早く食べよう」
「あ、そうだね。せっかくのお料理が冷めちゃう」
「いや、早く帰りたい。つむぎを連れて」
「え……」
視線を上げると丈は気持ちを抑え込むように、黙々と箸を動かしていた。
「でしょう? 一人だとあんまりたくさん注文できないけど、綾瀬くんと来れば色々分けて食べられるからいいね」
運ばれてきた品々に箸を伸ばすと、美味しさにすっかり緊張も解ける。
「私も真似して作ってみたの。でもなかなかこの味まではたどり着けなくて」
「へえ、つむぎの手料理も食べてみたい」
「お腹壊しても知らないよ?」
「まさか。だけど嬉しくて胸がいっぱいになるだろうな」
「綾瀬くんって……なんだか感激屋さんだね。映画とかドラマ観て泣いちゃうタイプ?」
「男がそんな簡単に泣くか。けど、つむぎ絡みだと泣く」
「私絡み? それってどういうの?」
そうだな、と丈は少し視線を上げて考え込んだ。
「高校の応援合戦で、一生懸命練習してたつむぎが本番上手くできた時。嬉しくて胸が詰まった」
え……とつむぎは言葉を失くす。
まさか本当にそんな頃から自分のことを見てくれていたとは。
「あとはずっと心の中に想い続けていた初恋の女の子に、大人になってから偶然再会できた時も。幻かと思うほど信じられなくて、それからじわじわと喜びが込み上げてきた。神様がくれた奇跡に感謝したよ。つむぎと一緒に仕事をしながら、ようやく会話ができたことが嬉しくて。二人でドライブして美術館に行った時も、真剣にアートを見つめるつむぎの横顔に惚れ惚れしたし、ジェラートを美味しそうに食べる笑顔にドキッとした。海沿いの公園で、応援団の演舞を踊って可愛く跳ねたつむぎが、どうしようもなく愛おしくなった。今も……こうやって俺と一緒にいてくれるつむぎが心から好きで好きでたまらない」
「綾瀬くん……」
じわりと目に涙を浮かべると、丈が明るく笑った。
「つむぎの方こそ感激屋だな。あ、泣き虫か」
「違うもん」
「ははっ、可愛いからいいけど、俺以外の誰にもそんな顔見せるなよ?」
首を傾げて顔を覗き込まれ、つむぎは恥ずかしさにふいとそっぽを向く。
「つむぎ……早く食べよう」
「あ、そうだね。せっかくのお料理が冷めちゃう」
「いや、早く帰りたい。つむぎを連れて」
「え……」
視線を上げると丈は気持ちを抑え込むように、黙々と箸を動かしていた。